第8話 絶叫
「道中でモンスターを倒して、レベルを上げましょう。私が援護します、必要ないかもですが」
「いやいや、必要だよ。体力が22しかないからな。下手したら一撃で死にかねない」
「ここらに生息する魔物であれば、女神の寵愛の効果で全て1ダメージになるはずです」
「なるほど。だが足を狙われたらどうなる?」
なんせ丸出しだからな。
「最上位の防具は、見かけのままその部位を守っているわけではありません。装備者自体の防御力を底上げしています。ダメージの入り方は変わったとしても、即死級のダメージが入ることはまずありませんのでご安心を」
ほう、それは良いことを聞いた。
足をスパッと切られて死ぬ恐れはないんだな。魔法障壁みたいなものがダメージを軽減するんだろうか?
「ダメージの入り方が変わる、とは?」
「そ、その、例えば男性の大切な部分に衝撃が入ると、いくらかは多くダメージが入るかと」
なるほど。これはわからないふりをした方がよさそうだ。
「男性の大切な部分? どこのことだ、はっきり言ってくれ」
「いえ、その、えーと」
ゆ!え! ゆ!え! USA! USA!
俺の心の中山きん○君が騒ぎ出す。
しかし、中々言い出せない。
そんなところが可愛いんだがな。
「言えないなら指差してくれ」
「こ、ここです」
女神は顔をそらし、恥ずかしそうに俺の股間を指さした。
当初の目的は果たされなかったが、大満足だ。俺の心は満たされた。
これが足るを知るということか。
「そうかそうか、わかったぞ」
がはは、と豪快に笑う。今日はいい日だ。
「わかってるくせに…変態」
「もっと言ってくれ」
「きー! もう言いません!」
文句を言いながらも、もう一度腕を組んできたアイオンを、俺は本当に心から守りたいと思った。
○
ネズミの死骸を虫が貪り喰い、悪臭漂う地下室。揺れるランタンの光で、二つの影が伸びていた。
一つは、全裸で四肢を鎖で縛られ、視界は黒い布に隠され、口には自殺防止の猿轡をかまされている1柱の女神。
もう一つは、その体を嬲るように指先でなぞる、鞭を持った魔族の男。
名をベルフェゴール。怠惰と好色の悪魔を冠した魔界の四天王である。
ベルフェゴールは拘束された体に鞭を打つ。ヒュンッと風を切り、鞭が皮膚を引きちぎる甲高い破裂音と、女神の絶叫が地下室に響きわたった。
「たまりませんね、この体。どれだけいたぶってもすぐに回復する」
興奮したベルフェゴールは、わざとらしく耳元で囁く。
女神の漏れでた唾を舐めた後、今度は鎖骨から腰骨にかけて、上半身を斜めに裂くように鞭を振り下ろした。
「んんんんんんんんんんん!」
「良い声です、最高ですよあなたは!」
だらだらと猿轡から唾が垂れ下がり、むき出しの乳房に落ちていく。
その傷口は、爛れることなくすぐに煙を上げて回復した。
「どれだけ傷つければ回復しなくなるんでしょうね?」
魔族の男は、ノコギリを取り出し、女神の首元に当てた。
女神は何が当たっているかを察し、息を呑んだ。
「試してみましょうか。創造神の加護とやらを!」
ベルフェゴールは首に当てたノコギリを引こうとした瞬間、女神が失禁し気絶していることに気づいた。
「なるほど、精神的なダメージは回復しないと。では飴と鞭が必要ですねえ。便利なのは体だけでしたか」
ノコギリをその場に投げ捨てる。
金属音が地下室に響く。
「いい夢を、レディー。すぐに会いにきますが。ははは、はははは!」
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