第7話 命の重さ

 女神アイオンは宝物庫をひっくり返して探してくれたが、下半身の防具は見つからなかった。 

 探している最中、アイオンは俺に背を向けてお尻を突き出す姿勢をとっていたので、すかさず1000枚ほど心のシャッターをきり、そのアルバムにそっと栞を挟んだ。

 老後の楽しみだ。

 色褪せない思い出、これから2人で沢山作っていこうな。


「本当にすみません、どこにもありませんでした」


「もしかして、俺の相棒が見たいからわざとやってるのか?」


プラプラとあてもなく彷徨う我が息子を、足を開いて強調する。


「違います! 創造神に誓って」


 なんだ、残念だ。


「そうか。しかしいくら変態の俺でも、常に何も履いていないのは落ち着かない」


「変態である自覚あったんですね」


 いや、ここは変態じゃないですよ!のツッコミ待ちだったんだが。

 どうやら俺は変態だと思われているらしい。それもまた一興。


「その力が、俺をアイオンの元へ導いた」


「変態に導かれし勇者……」


「いいなそれ、キャッチコピーにしよう」


「ダメです嫌です! 一緒に旅する私の身にもなってください!」


 デシデシと腕を叩かれる。ういやつめ。


「冗談だ。ほら、街にいけば装備屋があるだろう? そこで買えばいいじゃないか」


 RPGでの基本だ。

 次の街についたらまず防具と装備を新調する。そしてモンスターを狩り、加工する。

 何度も繰り返してきたことだ。


「街が……ないんです」


「ん? どういうことだ」


「魔王軍に占領されて、人類の拠点だった街はほぼ壊滅しました。当時街だった場所は、魔王軍の拠点となっています。奴隷にされた人間は何人か生かされてるかもしれませんが……」


 なるほど、ベリーハードモードってわけか。

 街禁止って縛りプレイにもほどがあるな。

 昔ポケモ○センターを禁止にしたら難易度が跳ね上がったことがある。

 それのさらに上位版か…いや、しかし今回は女神がいるし、俺も勇者であり、上半身のみとはいえ、最上位の防具と武器もある。なんとかなるだろ。


 あれ?

 となると、俺は何を最初の目的にすればいいんだ?南の洞窟にスライムが溢れてるとかじゃないのか。


「じゃあ、今から俺は何処に向かえばいいんだ?」


「あの、お願いがあるんですが……私の妹と姉が、魔王軍に囚われています。その2人を救出したいです。今も一体どんな目にあっているか」


 アイオンは俯き、震える声で懇願した。


 この素晴らしいDNAをもつ女性があと2人も?

 お義父さん、お義母さん、ありがとう。


「よし、行こう」


 女神は驚き、顔を上げた。


「そんなに即答していいんですか? 危険ですよ、守さんも死んでしまうかもしれません」


「アイオンの大切な姉妹なんだろ? 断る理由がない」


 きっと美人でスタイルがいいに決まってる!ハーレム作るぞお!おっぱいがいっぱい!

 俺は歩き出したが、アイオンは立ち止まっていた。道がわからないんだが。


「何してる?いくぞ」


 アイオンは泣いていた。泣き虫だな。俺はアイオンのもとにいき、先程と同じように涙を拭った。俯いたままなのでバレないかと思い指についた涙を舐めた。んーデリシャス!


「私、命に変えても貴方のことをお守りします」


 それは運命として犠牲になる覚悟ではなく、自らの意思で命をかけるという決意表明だった。


「俺も同じ気持ちだ。さあ、道案内してくれ」


 大事なおっぱいだからな。

 おっぱいは命より重い。

 俺もケツを締めて言った。


「はい!」


 アイオンは元気よく笑顔で返事をし、俺の腕を掴み引っ張った。

 軽蔑したり頼りにしたり喜んだり、忙しいやつだ。

 アイオンのぷにぷにの二の腕と、片方の天の恵みが俺の腕に当たる。

 俄然、やる気が出てきた。


 さあて、モンスターハントだ!

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