第3話 隙間から覗く者

 穴の空いた天井から差す光が、より純白な肌を輝かせ俺は目をひそめた。

 太陽の光すら、女神に恋をしているようだった。


 女神は俺の前に膝をつき、頭を下げ、瞼を閉じながら歌声と誤認するほどの美しい声で語り出す。


「私は平穏と時を司る女神、アイオン。あなたをここに召喚した者です」


 さっき聞きました。


「相沢守よ。この世界であなたは転生し、英雄としてこの世界を救うのです」


 膝ついてる太ももの隙間からパンツ見えないかな。

 あと、俺今全裸仁王立ちだからその位置で顔を下げてると、女神の顔が相棒の目の前にあるけど、大丈夫?


「私は10回に及ぶタイムリープを繰り返し、毎回違う勇者と共に世界を救おうと努めました」


「おっぱい何カップですか?」


「え?」


「ぷぅう」


 しまった!!!

 返事が同じようにないと思い、屁をこいてしまった!

 俺はなんとかポーカーフェイスを維持し、女神にもう一度問う。 


「おっぱい何カップですか?」


「カップというのは、なんのことでしょう、おっ、そ、その、胸のことを指しているのはわかるのですが」


 視線をそらし頬を赤くそめ、モジモジと体を揺らした。

 そうか、盲点だった。よくみると下着をつけていなかった。この世界にはカップという考えがないのか。


「なんでもない。契約か……他の勇者はどうして勝てなかった? 答えろ」


 せめて、威厳だけは維持するため強気の口調で俺は命令した。 


「は、はい! タイムリープの中ではすでにアポカリプスの手に落ちている勇者しかいませんでした。まさか私の姿で体を使っていたなんて。はしたない!」


 クッコロと言わんばかりに屈辱を耐える女神を見て、新たな性癖の扉を開けそうになる。


「なぜタイムリープ開始の時期を早めない?」


「一度設定したタイムリープ時間を変更することはできないんです。なので今回は私の時間を操る力の全てを注ぎ、創造神に意志の強い勇者を!と願い、貴方の召喚に成功しました」


「なるほど」


 わからん。

 意志の強い勇者? 俺が?

 とりあえずわかったふりをしてうんうんと頷いておいた。


「聡明なお方……。はっ、時間がありません! これより私の全魔力と生命をあなたに捧げます。そして貴方は最強の勇者となり、どうかこの世界を、救ってください」 


「断る」


「それでは、時差式魔法陣てんか___え? 今なんと?」


「嫌、嫌!」


 ちいかわ宜しく、全裸で地団駄を踏む相沢守38歳。童貞です。


「そんな……なぜです勇者相沢守よ!」

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