64 勇者狩り 4
私は、オートマタをダンジョンに戻した後、即座に第二階層、中ボス部屋へと向かわせた。
そこでは、テレポートで拉致った魔木と剣が、未だに抵抗を続けているのだ。
と言っても、それも悪足掻きでしかないんだけど。
あの二人は、初手の爺ゾンビによる不意討ちで、かなりのダメージを負った。
それに関しては、魔木の回復魔法である程度は治したみたいだけど、中ボス部屋のモンスターハウスを前に完全回復する暇なんてある筈もない。
むしろ、回復中を狙って袋叩きにしたから、当初よりもダメージは蓄積してるくらいだ。
ちなみに、こいつらのステータスは、こんな感じ。
ーーー
異世界人 Lv27
名前 マギ・アヤカ
状態 真装発動中
状態異常 毒 疲労
HP 41/150
MP 991/21000(7000)
攻撃 56
防御 48
魔力 21600(7200)
魔耐 109
速度 66
ユニークスキル
『大賢者』『真装』
スキル
『MP自動回復:Lv15』『光魔法:Lv20』『闇魔法Lv:20』『火魔法:Lv20』『水魔法:Lv20』『風魔法:Lv20』『土魔法:Lv20』『氷魔法:Lv20』『雷魔法:Lv20』『回復魔法:Lv20』
称号
『勇者』『異世界人』
ーーー
大賢者
MP、魔力のステータスを大幅に上昇。
魔力関連スキルの獲得熟練度を大幅に上昇。
ーーー
真装『グリモワール』 耐久値10000
効果 MP×3 魔力×3
専用効果 『
真装のスキルによって顕現した力。
本来の持ち主以外が使う事はできない。
ーーー
一度手にした魔導書を読み取り、そこに書かれた全ての魔法を無条件に使用可能となる。
魔法スキルの効果を大幅に上昇させる。
ーーー
まずは、魔木。
私の大魔導先輩に酷似したスキル『大賢者』の効果で、爺ゾンビにすら迫る魔力を持ち、
更に『
引き出しの数が多いというのは普通に脅威だ。
ただし、やっぱり経験が不足してるのか、爺ゾンビに比べて動きがぎこちない。
まるで、リビングアーマー先輩とトラップの同時操作に慣れてなかった頃の私みたいに、自分の能力を十全には発揮できない感じがする。
まあ、ピンチでテンパってるっていうのもあるんだろうけど、それを差し引いても未熟だ。
そして、剣の方は、こんな感じ。
ーーー
異世界人 Lv27
名前 ツルギ・キョウシロウ
状態 真装発動中
状態異常 毒 疲労
HP 333/2400(1200)
MP 21/1100(550)
攻撃 15700(7850)
防御 2464(1232)
魔力 402(201)
魔耐 2336(1168)
速度 15328(7664)
ユニークスキル
『剣聖』『真装』
スキル
『HP自動回復:Lv18』『MP自動回復:Lv14』『剣術:Lv38』
称号
『勇者』『異世界人』
ーーー
剣聖
攻撃、速度のステータスを大幅に上昇。
剣術スキルの獲得熟練度を大幅に上昇。
ーーー
真装『カラドボルグ』 耐久値30000
効果 全ステータス×2
専用効果 『
真装のスキルによって顕現した力。
本来の持ち主以外が使う事はできない。
ーーー
斬撃による攻撃力を大幅に強化する。
ーーー
うん。
強い。
魔木とは反対に、とことん物理に特化したステータス。
おまけに、魔木とは違って動きが良い。
素人に毛が生えたレベルの剣技ではなく、ちゃんとした武道家っぽい動きだ。
多分、元々、この世界に来る前から武術の嗜みがあったんだと思う。
そんな剣がモンスター軍団を相手に無双し、魔木が光魔法で光源を確保したり、トラップやガーゴイルによる遠距離攻撃を魔法で防いだりして、なんとかサポートする。
それによって、こいつらはギリギリ生き残ってきた。
でも、それもここまでだ。
二人ともHP、MPは残り僅か。
特に、魔木を庇い続けてきた剣は、もう限界。
今も、ほら。
壁から矢を射出して魔木を狙えば、剣がそれを庇って隙を晒し、不死身ゾンビの槍に脇腹を貫かれた。
風前の灯火に過ぎないHPが更に減る。
「恭四郎!?」
「大丈夫だ! それより集中しろ彩佳!」
そう叫んで、剣は不死身ゾンビの頭蓋を叩き割った。
でも、その程度の損傷は『
逆に、攻撃の隙を突いてゴブリンゾンビが動き、魔木に向かって斧を振りかぶった。
真装を解放したゴブリンゾンビの動きに、魔木は反応できていない。
「キャアアア!?」
結果、魔法の発動も間に合わず、ただ涙声で悲鳴を上げて、反射的に目を閉じてしまう。
そして、そうなった魔木を放っておける剣ではない。
この戦いをずっと見ていれば、そのくらいの事は予測できる。
「彩佳!」
ほら。
剣は、自分の身を顧みずに魔木を救い、代わりにゴブリンゾンビの一撃を受けて壁まで吹き飛んだ。
そこへ容赦なくゼロ距離から矢を放ち、剣の両肩を貫く。
よろめいて前に出たところで、今度は足下の剣山を起動。
腕に続いて、脚を破壊した。
「ぐっ!?」
「恭四郎!?」
「ッ!? 彩佳! 避け……」
剣が警告を発しようとしたけど、もう遅い。
魔法の発動すら忘れて呆然としていた魔木を、近くにいたロックゴーレムが殴り飛ばし、剣の近くへと吹っ飛ばした。
魔木のステータスだと、ロックゴーレムの一撃ですら致命傷だ。
「あぐっ!?」
「彩佳!」
痛みに耐えかねたのか、まだMPは残ってるというのに、魔木の真装である本が消滅。
同時に剣のMPも切れ、真装の剣も消滅。
これにて、チェックメイトだ。
私は、こいつらに相応しいトドメを刺すべく、オートマタを中ボス部屋の中へと入れた。
死にかけの二人の視線が、開かれた扉の方へと向き、オートマタと目が合う。
「久しぶり。魔木さん、剣くん」
「あ、あぁ……」
「本城ぉ!」
魔木は顔を真っ青にして、逆に剣は顔を真っ赤にしてオートマタを見た。
魔木は恐怖で、剣は怒りかな?
なんにしても、そういう反応をしてくれると、わざわざオートマタを出して殺す甲斐がある。
他の奴らを効率優先でサクッと殺しちゃった分、こいつらは復讐優先で殺してやろうと思ってたから。
生き地獄を味わわせてやる。
楽に死ねると思うなよ。
「さあ、死ぬ準備はいい?」
私は、ただ怖がらせる為だけにそう言って、オートマタを二人に向かって歩み寄らせた。
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