とある勇者達の真装講座
「全員注目!」
異世界に召喚されてから、早数週間。
今日も今日とて訓練に励む俺達は、騎士団長のアイヴィさんの号令によって、一時訓練を中断して集められた。
正直、カルパッチョ教官の熱血指導はキツかったから助かった……。
そして、アイヴィさんは俺達が見てる前で話し始めた。
「まず、これだけは言っておこう。
君達の成長ぶりは著しい。
特にユウマをはじめとした何人かは、Lvさえ上げればすぐにでも戦場で活躍できるだろう。
そこまで強くなったのは、勇者としての力ではなく、君達自身の努力の成果だ。
それは素直に誇って良い」
そう言われて、クラスメイトの大半が顔を緩める。
そりゃ、自分の努力を褒められるのは嬉しいだろう。
俺だって嬉しい。
まあ、カルパッチョ教官曰く、今の俺がLvを上げても、精々一般兵と同じくらいのステータスにしかならないらしいけどな!
でも、たった数週間のトレーニングで、プロの兵隊さんと互角になるって考えたら凄いわ。
そう、ポジティブに考えよう。
……大分、カルパッチョ教官の思想に染まってきた気がする。
「世界の希望として、国民達に君達の事をお披露目する日もそう遠くないだろう。
という訳で、今日からは皆お待ちかね!
真装の習得に向けた訓練を開始する!」
『よし!』
アイヴィさんのその一言で、皆のテンションが一気に上がった。
当然、俺もその1人だ。
やっぱり、男として、あんなカッコ良すぎる技には憧れるだろ!
中二心が疼くわ!
逆に、女子達のテンションはそこまででもない。
どうやら、この中二心に理解のある女は少ないらしい。
「では、改めて真装の簡単な説明をしておこう。
真装とは、唯一後天的に獲得できるユニークスキルであり、同時に万人が習得できる可能性のあるスキルだ。
その性質は千差万別。
同じ真装のスキル持ちでも、個々人によって形状も効果もまるで違う。
……まあ、万人が習得できる可能性があると言っても、実際に真装を習得できる者は極一部。
だが、君達には勇者としての力がある。
やってやれなくはないだろう」
そう言った後、アイヴィさんは「では、今一度、私が手本を見せよう」と言って、片手を前に突き出して構えた。
この台詞の通り、前にもアイヴィさんは真装を見せてくれた事があるのだ。
それによって、男子陣の訓練に対するモチベーションが急激に上昇した。
「我らに勝利を━━『ティルファング』!」
『ウォオオオオオオ!』
アイヴィさんの手の中に出現した、この人の真装である黄金の騎士剣を見て、男子陣が歓声を上げた。
あの神道ですら目が輝いている。
やっぱり、カッコいいよね、真装!
「まあ、前にも見せたが、これが私の真装『ティルファング』だ。
効果は、全ての真装に共通するステータスの爆発的な増強に加えて、
固有能力である、味方全員のステータスを大幅に上昇させる専用効果『
自分で言うのもなんだが、かなり強力な真装であると自負している!」
アイヴィさんのドヤ顔いただきました!
いやー、美人て、どんな顔でも美人なのね。
鼻がニョキニョキと伸びてるアイヴィさんは、なんか残念な人みたいで親しみを感じるわ。
「このように、君達も真装を習得する事ができれば、大幅なパワーアップを遂げる事ができる。
何せ、真装とは己の真の力。
終世の相棒に等しい。
そして、それは魔王との戦いにおいて、大きな力となってくれるだろう。
では早速、特訓開始だ!
ビシバシ行くから、覚悟しておけ!」
『はい!』
そうして、俺達の真装習得講座が始まったのだった。
楽しみだなー!
俺の、俺だけの真装!
俺は、いや、俺達は、まだ見ぬ自分の
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