陽キャは成績がヤバいらしい
「そういえば最近平和だ……」
「どうしたの? 真島くん」
休日も終わり再び学生生活に戻って三日。
いつものように志乃さ……篠宮先生に勉強を教えて貰っていた。
「いや、最近陽太達から変なちょっかいを受けてないんですよ。何かあったのかなーって」
「あぁ、なるほど」
あれだけ俺をいじめていた陽太達だったが最近は大人しくなった。
いや、すれ違うと睨まれはするよ? ただ以前に比べたら明らかにマシになったというか。
「多分成績が悪いからよ。彼ら留年一歩手前だし」
「え、そうだったんですか」
「一年生の時はまあまあだったけどね……進級してからガクッと成績が落ちたわ」
「あー……まじかぁ」
陽太達は授業態度があまりよくない。一応内容を聞いてはいたが、途中でスマホをいじったりどこかへ消えたりと無茶苦茶だ。こんなんで成績は大丈夫なのかと思ってきたが、やっぱりダメか。
いくら学校の支援者の息子とはいえ学園のルールは絶対。なので彼らは
「自業自得、ですね」
「勉強はやった分だけ伸びるもの。当然よ」
合法的に消えてくれるなら俺は満足だ。
篠宮先生さえ入れば俺の学園生活はそれでいい。少し話した後、二人は勉強へと戻るのだった。
◇
「なんだこの成績は!!」
目つきの悪い男に殴られる。
「た、たまたまだよ……」
「黙れ!! 陽太、まともに勉強していないな!?」
「……」
「難しすぎるんだよ……二年になってから急に」
「言い訳無用!! 全く、朝日家の人間がこのザマとは」
うるせぇなぁ。
俺はもっと遊びたいのに、親父はいつも厳しい。やれ勉強しろとかやれ立派な人間になれとか。そういうの興味無いんだって。
「誰か賢いやつはいないのか?」
「え、あー……いじめてた真島とか?」
「ほう? それはどれ程の成績だ?」
「えーと、学年トップだったかな? けど陰キャで生意気なんだよ。だから俺が痛い目に合わせてんだー」
「なんだと……この大馬鹿者が!!」
再び殴られる。
「何故そんな優秀な人材を利用しない!? 痛めつけるのは弱者だけ、強者には甘い汁をすすらせて媚びろ!!」
「は? 真島が、優秀……?」
「陽太よりよっぽど優秀だ!! あの学校の試験でトップなら相当真面目で勤勉な子なのだろうな」
「は……」
真島が優秀?
なんで? 陰キャで生意気で教室の隅っこで怯えてるあのクソガキが!?
「いいか!! そいつに媚びて教えて貰え!! 利用して利用して利用するのだ!!」
俺があいつに媚びる?
生まれも育ちも、見た目だって俺の方が上なのに。
なんで俺があんな陰キャに頭を下げなきゃならない。
「……」
いやまてよ?
あいつより俺の方が力が上だ。
媚びる必要なんてない、屈服させればいい!!
どんな手でも使って、俺の成績さえ上げればこっちのもの。
後は今まで通りみんなとバカ騒ぎして楽しい学園生活を送ろう。
◇
「だからさあ、教員から次の試験の解答盗んで来てよー」
翌日。俺は陽太に絡まれた。
いつものいじめ……にしては何か目的がある気がする。
「陽太は賢いだろ。なんでそんなことする必要が? だいたい答案の場所なんてわかんないよ」
「冗談だってぇ。じゃあさ、授業の要点をまとめたノートよこせよ。お前いらねぇだろ?」
「えぇ?」
「だーかーらー!! お前のノートよこせよ!!」
妙に焦っているな。
遊び半分でからかいたい、ではなく今すぐにでも手に入れたいという欲に見える。
「てめぇ、逆らうとマジでボコるからな?」
わかった、成績がヤバいからだ。
志乃さんが言ってた、陽太達は留年しそうだと。恐らく父親か誰かに怒られ、俺を利用して成績をあげようとしてるに違いない。
「わ、わかったよ……今週の金曜日に全部持ってくるから……」
「へへ、よろしくぅー」
今はちょうど試験二週間前。
試験が悪ければ陽太は留年する。
今まで俺をいじめていた陽太を陥れるチャンス。
このチャンスをものにする為にも、俺は行動に出よう。
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