第84話

 中学校に入学する頃には。


 舞佳の家に、毎日幸がいた。




 クラスメイトに仲良くなれそうな子がいて。

 随分と一緒にいて、舞佳にとって信頼できる友達となっていた。

 だけど、信頼できる友達は、鈴や幸に何かされるのでは無いかと思うと怖かった。

 だから、鈴や幸について話した。…相談した。

 だが、その時言われたのが「嫉妬魔」だった。

 …どうやら、友達は、”他人の家庭が羨ましくて、自分は可哀想な子だとアピールしている”とか思ったようだ。

 しかも、友達同士でする冗談とかじゃなくて、割と本気の。


 …こっちは、本気で困っているのに…何それ!


 それから、友達は舞佳に話しかけることが少なくなっていった。

 だが、そんな友達、舞佳の方からす関わることをやめた。


 担任の先生にも相談したが…

「お母さん、そんなに悪い人かな?」

「舞佳さんの思い違いじゃなくて?」

 の一点張り。

 全く、聞く耳を持ってくれなかった。




 そんな中、仲良くなってくれたのは…クラスメイトではなく、近所に住む人たちだった。

 大学生の千太郎と、小学生低学年の灯真だった。


 千太郎とは、趣味が合って、時にブログに載せてもらっていた。

 その時には、よくあの赤い宝石のペンダントをつけていた。

 小学校の入学式に、鈴と人志がくれたプレゼントだ。


 灯真は、小学生の割になんでも出来て、料理や家事はこの子から教えてもらうことが多かった。




 だが…結局、鈴と幸に傷つけられてしまった。


 千太郎は大学から帰っていた際に、幸に絡まれたらしい…


 灯真は、鈴に手を上げられたらしく…

 鈴と灯真の両親が言い合っているところを、舞佳は見たことがあった。

 …だが、止められなかったが…




 千太郎も灯真も、引っ越してしまった。


 それ以来…会うことは無かった。

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