第83話

 あれから、また数ヶ月過ぎた。


 鈴の干渉は強くなってきている気がする…

 だが、これといった問題は特に無かった。


「そのお菓子…美味しいんですよ」

「へぇー、大福っぽい…結構甘そう、だけど美味しそうですね!」

「今度、手作りで作ってみようと思ってて…」

 そんな話をしながら、真可と帰路を歩いていた時だった。


「舞佳っ!!」

 目の前に現れたのは、鈴と…幸だった。

「お、お母さん…!と、幸さん…?」

 その時の、鈴と幸の顔…厳しい顔をしていた。

「舞佳、その子と関わるのはやめなさいっ!!」

 鈴がそう言った。

「え…⁉︎ちょっと何言ってるの?」

 一度、聞き間違いを疑った。

 こんなに、はっきり言っているのだから聞き間違えるはずは無いのだが…

「舞佳、鈴さんの言うとおりです。帰りましょう…」

 幸は、容赦無く舞佳の腕を掴んだ。

「い、痛い痛い…!!!」

 すごく強い力だった。

 思わず、抵抗して逃げ出そうとしてしまうくらい…


 それを見ていた真可は、慌てて舞佳と幸の間に入った。

「ちょっと、舞佳ちゃんのこと離してください!痛そうですよ!」

 …と。


 それを聞いた鈴は、真可に近づいた。


 舞佳は張り詰めた空気を感じた…


 真可さん…!


 声には出せなかった。


 パシン!!


「ちょっと、お母さん!!」


 鈴が、真可に手を上げたのだ。

「私の舞佳に、これ以上関わるな!気安く関わるなーーー!」

 そう叫んで。


 真可は、身の危険を感じたのか…逃げ出した。


「お、お母さん…何をやっているの…⁉︎」

 鈴は振り向かない。

「舞佳、鈴さんの判断は正しいです」

 舞佳は幸に連れられていった…。

 鈴は怒りを顔に表して、後ろをついてきた。




「お母さん…どうして…!」

 家に帰った後、舞佳は鈴に問い詰めた。

「舞佳…あの子はね…」


「舞佳を裏切ろうとしてたのっ!!!」


 …な、何を言っているの…?


「鈴さんは、さすがです。あのような人は、いつか裏切りますから」


 幸さんも、何を言っているの…?




 これが、最初の事件。

 鈴はその日から、完全におかしくなってしまった。




 その後、真可と仲良くなることは無かった。

 鈴と幸が怖かったのだ。

 舞佳も真可も…

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