第80話

 静かになった家の中は、時間が進むのがやけに早い気がする。


 ぼーっとしてることが多くなったのか…






 翌週になり、舞佳と鈴は人志の葬式に参加した。


 …私が見てたニュース…あの脱線事故で、お父さんが…


 人志の遺影がそこにある…

 舞佳は、涙をこぼした。


 …本当に、本当に、お父さん、いなくなっちゃったの?


 鈴や周りの人が泣いているのを見て、急に実感が湧いてきた…

「お父さん…」


「うう…ううううううう…!!!」

 舞佳は泣き出してしまった。


 お父さんに友達ができたよって話したかった。

 今度の授業参観、見にきてもらいたかった。

 お父さんと好きな曲を歌いたかった。


「お父さん……」


 お父さん……

 これが、全部夢ならば良いのに…


「お父さん…お父さん……」






 鈴と舞佳で肩を並べて、帰路を歩いていた。


 ガチャ…


 家の中に入るなり、鈴は二階へ上っていった。

 舞佳はその後を追う。


 二人で、同時に自室へと入っていった。


 舞佳は一人でずっと泣いていた。


 …それは、鈴も…。

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