第63話

 白かった部屋の床一面が、黒に染まっていき…

 ついに、部屋全体が真っ暗になってしまった。


 舞佳は、真っ暗な部屋の中…鉄格子の中に囚われていた。




 …そこに現れたのが、スズだった。

 鉄格子の向こう側で、つまらなさそうな顔をして、舞佳を見下ろしている…


「元はといえば、舞佳が悪いのよ」

 スズはそう言った。

「わ、私…?」

「私は、言ったわよ。みんな、舞佳にとって悪い人なのって」

「……」

「でも、舞佳はそれを聞きもしないで、あの人たちと一緒に居続けた。だから、私が直々に舞佳から悪い人を引き剥がしてあげたの。感謝してよね?人が苦しむところを見たくないなら、最初から私の言うことを聞いておけば良かったのよ」


 …そんなの、間違っている…


 うなだれる舞佳。

「これで、反省したでしょう」

 スズの隣から現れたのは、サチだった。

「…そうね」

 スズは呆れた声だったが、すぐに少しだけ微笑んだ。

「舞佳、これからはちゃんと大人しくしててね?私たちの言う事を聞くのよ?」

 スズはそれだけ言って、サチとともに去っていった。


 舞佳の周りが、だんだんと暗くなっていく…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る