第12話

「そういえばさ…」

 そう言って舞佳に声を掛けてきたのは、楚世歌だった。

「舞佳、アイドルになりたいって言ってたよね?」

「は、はい…」

「…なれそう?」

 …舞佳は困ったように首を横に振った。

 そして、机の上にあるスマホに視線を落とす。

 …その中には、あの不採用通知が保存されている。

「いえ…」

「…どうかしたの?」

 楚世歌が不安そうな顔をした。

 舞佳はスマホに手を伸ばし、あの画面を楚世歌に見せる。




『受信メール』


件名:【選考邨先棡のご連絡】繝悶Ο繝�し繝�繝励Ο繝繧ッ繧キ繝ァ繝ウ




田谷舞佳様


繝悶Ο繝�し繝�繝励Ο繝繧ッ繧キ繝ァ繝ウ、採用担当の讚サ莠�と申します。


この度は、数ある企業の中から蠑顔、セへご応募頂きまして、誠にありがとうございます。

また先日は蠑顔、セまでご足労頂き、ありがとうございました。


書類選考の邨先棡をお伝え致します。


面接でのお話を踏まえ、社内にて厳正な選考を行った邨先棡、

誠に残念ながら今回はご期待に添えない邨先棡となりました。


螟ァ螟画$邵ョではございますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。


蟆�、お預かりした応募書類につきましては、履歴書に書かれておりました住所に返送させて頂きます。


田谷舞佳様のより一層のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。





「そっか…」

 楚世歌は残念そうにうなずき、舞佳はスマホを伏せた。

「失敗は成功の基って言うじゃない」

 和花は言った。授業しているときのような、厳かな瞳で。

「何事にも失敗はつきものよ。これからをどう行動して、どんな未来を描くか…今は、それが重要じゃない?」

 その言葉は、舞佳に重くのしかかった…。

 だが、その通りだ。ずっと悩んでいても、秒針は止まらない。

「それもそうだね…舞佳、次は何をするの?」

 楚世歌は明るい声で、舞花に話しかけた。

「えっと…」

 アイドルを目指した最初のきっかけは…歌を楽しみたい、それだけだった。

 でも、もう一つ…目指し続けることが出来たきっかけは…

「人を笑顔に出来ることがしたい…です」

 それが舞佳の言葉だった。

「良いじゃん!」

 楚世歌の瞳がきらきらと輝きだし、和花も優しく笑っていた。

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