第5話
「また、明日来るから」
そんな言葉が響き、舞佳はハッと目を見開いた。
いつの間にか自分はベッドで寝ており、リビングには誰もいなかった。
外は、すっかり暗くなっている。
「夢…?」
もしかしたら、家に帰ってきてすぐに寝てしまったのかも。
舞佳はキッチンへと向かった。
「…え」
夕食を作ろうとした舞佳の手が止まった。
シンクに、十一人分のコップが置いてあったのだ。
さっき、夢の中で机の上に置いてあったコップだ…。
ならば…
「夢…じゃない?」
舞佳はしゃがみこんだ。
もう何が何だか分からない。
「もしかして、今も夢の中なの?」
怖くなった舞花は、スマホをバッグの中から取り出した。
日付も時間も合っている。
連絡は入っていない。
次に見つけたのは、あの不採用通知だった。
『受信メール』
件名:【選考結果のご連絡】繝悶Ο繝�し繝�繝励Ο繝繧ッ繧キ繝ァ繝ウ
田谷舞佳様
繝悶Ο繝�し繝�繝励Ο繝繧ッ繧キ繝ァ繝ウ、採用担当の讚サ莠�と申します。
この度は、数ある企業の中から蠑顔、セへご応募頂きまして、誠にありがとうございます。
また先日は蠑顔、セまでご足労頂き、ありがとうございました。
書類選考の結果をお伝え致します。
面接でのお話を踏まえ、社内にて厳正な選考を行った結果、
誠に残念ながら今回はご期待に添えない結果となりました。
大変恐縮ではございますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
尚、お預かりした応募書類につきましては、履歴書に書かれておりました住所に返送させて頂きます。
田谷舞佳様のより一層のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
「今は…夢の中ではないよね」
ようやく現実感が戻ってきた。
ホッとした舞佳は肩を下ろすと、ゆっくり立ち上がった。
「ご飯食べよう…」
冷蔵庫に入っていた白米やみそ汁を取り出し、電子レンジで温める。
温まるまでの間に、野菜を適当に切って、サラダを作った。
ついでに、ホットコーヒーを淹れる。
…リンッ!
強い音がする。
温め終わったのだろう、電子レンジから夕食を取り出し、机に並べた。
「いただきます」
リビングの小さな机…
さっきまで、確かにたくさんの人がいた。
それすら夢だったとでもいうように、今は静けさだけが流れている。
「美味しい…」
いつも食べているはずの夕食が、久々に美味しく感じた。
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