友達ができた
第14話 新しいカップルが生まれそう…?
『ミアリス・アリエット 様
私はスフィルア家のエミリと申します。以前からアリエット家の皆様と交流を深めたいと考えており、このような形で送らせて頂きました。
早速本題に入るのですが、是非ミアリス様と紅茶を嗜みたいと思っております。もちろん2人きりではなく他の方も来られます。どうでしょうか?
もし来られるようでしたら時間を以下に書いておきます──』
私は部屋に1人届いた手紙を読んでいた。
エミリという名前は聞いたことがある。どこぞの天才令嬢では無いか。
エミリ・スフィルアは貴族という身でありながら1人で大きな研究をしてそれを見事成功させたとか。なぜ天才令嬢が私みたいな平凡な人をお茶会に呼ぶのだろうか。
なにか裏がありそうだとも思ったけど天才令嬢がこんなあからさまなことするわけが無い。この人は純粋に私と仲良くしたいと思っているだけなのだろう。
……よし、行こう。私もそろそろ他と仲良くしなさいとお母様に怒られてしまうところだ。
リンフィには悪いけど、これは交流のためだ。仕方ない。
◆◆◆
当日になって、私はスフィルア家に来た。
「これはこれはミアリス様! お待ちしておりましたわ! ……ご存知かと思われますが、私はエミリ・スフィルアと申します」
「ど、どうも。ミアリス・アリエットです」
エミリは「ここに座ってくださいませ」と椅子を引いた。机の上には紅茶と沢山の菓子が並べられている。こんな光景を見たのは久しぶりだ。
すると私は紅茶は4つ並べてあることに気づいた。
「……エミリ様、他にも誰か来るんですか?」
「ええ、ナイジェ家のリンフィ様とそれから───」
「ちょ、ちょっと待ってください。リンフィも来るんですか……?」
思わず耳を疑った。まさかリンフィがいるなんて思わないだろう。
「リンフィ様はミアリス様が居ると聞いて絶対に行く! と仰っていましたわ。仲がいいんですのね」
エミリはそう言ってにっこりと微笑む。
……婚約のことはまだ他の家には知らされていないようだ。まぁそれで騒がれるくらいならずっと隠されていた方がマシではある。
「あ、途中で遮ってしまってすみません。もう1人は……」
「もう1人はファルミア家のリゼアミス様ですわ。……あ、もう来たみたい」
エミリはノックの音を聞くとドアに向かって「入っていいですよ」と声をかけた。
ドアが開くと不満そうな表情をしたリンフィがエミリに駆け寄った。
「エミリ! どうしてこの方を連れてきたんですか!」
ドアを勢いよく開けて入ってきたかと思うとリンフィはエミリに詰め寄った。
「……それはこっちのセリフ。なんでリンフィを呼んだのよ」
あの長い黒髪の少女が多分、リゼアミスだろう。少し背は小さめだ。
この2人が会ったことあるというのは今初めて知ったけど、どうやら仲が悪いらしい……?
「まぁまぁ2人とも落ち着いてくださいな」
エミリが2人をなだめるように言う。
「エミリ、今日のお茶会はミアリス様が来るとしか言ってないわよね。リンフィが来るなんて聞いてないわ」
「そうですよ! 私もミアリスが来ると聞いたから来たのに……!」
「だって言ったら来ないじゃありませんか。私は2人に仲良くして頂きたいんですわ」
私を置いてけぼりにして話が進んでいく。
リンフィからこの人の話は聞いたことないけど、3人は友達なんだろうか。
「……無理なお願いよ。リンフィと仲良くなんて一生かけても無理だわ」
「ええ私もです! リゼと仲良くなんて出来るわけがありません!」
こういう所は同じこと言うのにどうしてこんなにも仲が悪いんだろうか。
「こらこら2人とも。ミアリス様が困ってらっしゃいますわよ。とりあえずリゼは挨拶しましょう?」
何だかお母さんみたいだ。エミリ様は。
「……リゼアミス・ファルミア。リゼでいいわ」
「ミアリス・アリエットです……」
「ミアリス! リゼなんかと仲良くしなくていいです! こっちにいましょう!」
リンフィは私の手を引いてリゼと反対方向の椅子に座らせた。
「な、なんでそんなに嫌ってるの……」
「昔から合わないんです! リゼとだけは、どーーーしても!」
……そんなに。むしろ気になってしまう。
「リゼも座りましょう。私の隣が空いてますわ」
「私帰るわ」
「あらあらそう言わずに。こっちにおいで」
エミリは両手を広げた。するとリゼはさっきのつんつんとした感じではなく少し顔を赤らめてエミリの隣に大人しく座った。
「昔からエミリにだけはあんななんですよねあの人」
「こんな態度取るのリンフィだけよ。リンフィ以外にはみんなこうだわ」
「そんなことありませんわ、リゼは私には甘えん坊なんですよわね〜」
エミリはにっこりと微笑む。
なるほど、リゼはエミリに対してだとああなるのか……。ギャップというかなんというか。
「ミアリスも私の前だけ甘えん坊になるんですよ〜」
「なっ、リンフィ何言って……!!」
「あらあら、似たもの同士ですわね」
「……ねえ」
リンフィとエミリが笑いあっている中リゼが声をあげる。
「もしかして2人って付き合ってるの?」
「……えっ」
予想外の言葉に思わず言葉が詰まる。これはなんというのが正解か。
「言っとくけど女の子同士で付き合ってもいいことなんてないわよ。他の貴族からは批判されて馬鹿にされるし何より跡継ぎがいないから養子を取らなきゃ行けない。それくらいいいことなんて何も無いのよ。それだけ愛を大事にしたいなら別だけどね」
「……で、でも親公認で……」
「親公認? 嘘でしょ、どうせ。そんなの許す貴族がどこにいるのよ」
でも実際親公認で婚約者としてこの場にお互いがいるのだからこれは嘘じゃないちゃんとした事実だ。
「……リゼ、それは前の話。今は関係ありませんわ。私たちの話とこの2人の話を同じにしては行けません」
もしかしてさっき話していたことは全部自分の身に起こったことだというんだろうか。
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