第9話 ついに一線超えてしまった

 頭がぼーっとしたかと思うと、急に意識が途切れて、リンフィの私を呼ぶ声が聞こえた。


◆◆◆


「……ん」


 私は目が覚めて起き上がる。ベットの上にいるようだけど、一体何が起きたんだ。


「あ、ミアリス! 大丈夫ですか!?」


 リンフィが駆け寄ってきて私に聞いた。


「んー……大丈夫、だけど何があったの……?」

「お風呂にいる時急に倒れたんですよ、ほんとに心配しました……」

「え、倒れたの……?」


 もしかしたら、いつもとは違う刺激に、頭が混乱したのかもしれない。あれは……なんというか、本当に1歩手前だった。

 そんなことより、まだ頭痛がする。倒れた時に頭でも打ったんだろうか。

 ふと首筋に目をやると、しっかりとキスマークが付けられていて顔がぶわーっと赤くなっているのを感じた。


「それにしても私キスマークつけるの上手くないですか? こんなくっきり……」


リンフィが私のキスマークの辺りに触れた。


「ひゃっ」

「どうしたんですか?」

「な、なんでもない。だけど、首の辺り……やめて。なんか体が……」

「ふーん」


 私が倒れた後だったからやらないだろうけど、それ以外のときだったら絶対襲われてただろうな……と思いながらリンフィから少し離れた。


「あ、離れた。もーミアリス、私そんなことしませんよ??」

「お風呂であったこと思い出してもそれ言えるの……?」

「う……」

「はいはい、わかったならもう寝ようか」


 リンフィは大人しくベットの上に転がる。すると、リンフィは私の腰のあたりに手を回した。


「……リンフィ」

「せめてこのくらいはさせてくださいよ……。じゃないと私…‥耐えられません」

「わかった」


 今日のリンフィは何なんだ。私が余計ドキドキしてまうじゃないか。そんなことを思いながら眠りにつこうとしたが、リンフィの息が背中にかかるのが気になって心臓の鼓動が早くなる。リンフィの胸が思いっきり私の背中に密着している。心臓の音も感じるような……?

 ああ、こんなことばかり考えているから眠れないんだとわかっていても心臓は何かとリンフィを気にして鳴り止まない。

 すると、リンフィが急に起き上がった。なんだろうと思いながら気まずくなりたくないから寝たふりをする。リンフィは起き上がって私を仰向けにさせた。ますますわからなくなるがそのまま大人しく寝たふりを続けた。すると何か柔らかいものが私の胸に当たったかと思うとおそらくリンフィの唇であろうものが私の口に触れる。驚いて私は思わず目を開けてしまった。


「ミアリス⁉︎ なんで……」

「ご、ごめんリンフィ。なかなか寝れなくて……ほんとは起きてたの」


 リンフィは顔を真っ赤にして手で顔を覆った。失礼だけど、リンフィにも恥ずかしがる気持ちがあったのかと少し感心。


「……もう、いいですか? 私お風呂でのことがあってからずっと我慢してるんです……もう耐えられません」

「そんなこと言われても……」


 リンフィに真っ赤になった顔でじっと見つめられて、私は思わず顔を背けた。

 これはいいよというのが正解なのか、はたまただめだというのが正解なのか。ただ、リンフィのこの気持ちを踏みにじるというのは、流石に私の心が許さない。だけど、私はまだそういうことをしたいという気持ちがないのに、体が疼くのは何故だろう。


「……い、いいよ。わかった」


 私はそう呟く。するとリンフィは明るく喜ぶのではなく、「ふふ」と微笑んでまた私にキスをした。


「ありがとうございます。…‥痛くはしません」


 リンフィは早速私にディープキスをする。そのまま私たちは抱き合った。するとリンフィは私の服の中に手を滑り込ませる。あぁ、これから始まるんだと私は覚悟した。


◆◆◆


「ぁあ……っ‼︎」


 私の口から聞いたこともない声が漏れ出した。あれから始まって、いったい何時間経っただろう。私は何度も達して疲れ切っている。

 するとお風呂であったような感覚に襲われて、また意識がふと遠のいた。


◆◆◆


「ミアリス、ミアリス。朝ですよ」

「ん……?」


 あまり寝た気がしないのは何故だろう。


「昨晩は急に気絶してしまって驚きました。2回目ですね」


 夜のことを思い出す。恥ずかしくなって枕に突っ伏した。私は気絶してしまったらしい。


「もう、気持ちいいからって何度も達してしまって……それはもう可愛くて仕方ありませんでした……」

「やりすぎ……」

「私の誘いを受けたということは、それくらいは覚悟してもらわないといけませんね♪」


 もう絶対誘いにはのらないと決心した。


「……あ、今日もしてあげてもいいんですよ? 昨日を思い出してミアリスが一人でしないように……」

「もう、やめて……! 恥ずかしいから! あとそんなことしない!」

「ふふ、それはどうでしょう」


 昨日のことがそんなに嬉しかったのか、キャラが全然違うリンフィ。リンフィはどんどん性格が変わっていく。多重人格なのかと疑ってしまうレベルだ。

 今日はそういうモードなんだろう。また襲われないように気をつけなくちゃ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る