第8話 一緒にお風呂

「ふぅ。ミアリス、お風呂入りましょうよ」


 ご飯を食べ終わったあと、私たちは適当に暇を潰していた。そこにリンフィが声をかけてきた。


「あ、ほんとだ。入る」


 そういえばすっかり忘れてた。すると、リンフィは少しにやっと笑っていた。嫌な予感。


「一緒に入ります?」

「うっ」


 リンフィの言葉に私はいつも振り回されてばかり。

 流石にそんな事言わないと思っていたのですごく驚いた。お風呂一緒になんてちっちゃい子じゃあるまいし……。


「なんで……」

「そっちの方が恋人っぽくないですか? お背中流しますね、みたいな」


 そうなんだろか。私が知らないだけで世間一般的にはこれが普通なのかもしれない。だったらいいんじゃないかと思ってしまった。


「……分かった」

「ありがとうございます♪」


 リンフィは上機嫌に頷いた。


◆◆◆


 ……なかなか、服を脱ぐことが出来ない。恥ずかしい。


「ミアリスどうしたんですか? もしかして恥ずかしい……?」

「ばっ……そんなんじゃ……」


 ほんとは恥ずかしくてたまらないけどそれがリンフィだということが一番嫌だ。リンフィはスタイルがいいし、私の貧相な体に比べたら恥ずかしくてたまらない。男に見られる訳では無いといっても、婚約者のリンフィだと余計に意識してしまう。……うぅ。

 もうどうにでもなっちゃえ、と私は思いきって服を脱いでお風呂に駆け込む。


「おぉ、ホテルなのもあってお風呂も結構広いですね〜」

「……」


 私は体を隠すようにして一点を見つめる。どうしよう、恥ずかしすぎて頭の中が真っ白だ。


「ミアリス、どうしたんですか?」


 リンフィは白く透き通った肌をしていておまけに胸もでかいしスタイル抜群。なんでこんな顔も体も完璧な美少女とお風呂に入ることになってしまったんだ。


「私、胸も小さいし……リンフィと比べたらはずかし……い」


 私の発言にリンフィはプッと吹き出した。


「そんな事だったんですね。全く、そんなに気にすることじゃないでしょう」


 リンフィにはこの気持ち絶対分からない。


「気にするんだよ」

「へぇ」


 するとリンフィは裸の私を追い詰めてお風呂の縁に座らせた。リンフィは私の頬を触る。


「可愛い」

「何、どうしたの……」

「私は体なんて気にしませんよ。こうして顔と性格を見て愛しているのですから」


するとリンフィは顎を持って初めてした頃のようなディープキスをした。意識しまくっているのもあって私は突然の快楽に溺れる。


「ん……」


 自然と声が漏れる。そんなことも気にせずリンフィはキスをし続けた。私の口の中を這うリンフィの舌が、私の舌と絡んで音を立てる。

 するとリンフィは何を思ったのか、私の体に触れる。


「ひ、ぅ」


 驚いて声を漏らす。キスをしているとその触れられるのでさえも体が反応してしまって声が出てしまう。

 そのままリンフィの手は私の体のラインをなぞった。私は声を漏らしながらリンフィに体を委ねている。

 そんなことを続けていると、リンフィに何かのスイッチが入ってしまったのか、リンフィは私の足を持ち上げて開いた。

 ダメなところが丸見えになってしまう。私は思わず足を閉じた。


「な、なにして……!!」

「ふふ、流石にここからは好きにならないと無理ですね」

「当たり前でしょ!!」


 まったく何を言っているんだこの人は。好きでもないのにこんなのなんて……。

 でも、なんでだろう。キスをされてから、私の体の疼きが止まらない。ムズムズして、なんだか物足りない。私はいつからこんなになってしまったんだろう。


「そうだ、キスマークつけましょう。あれがダメでもこのくらいはいいですよね……?」

「うぅ、ダメ、じゃないけど……」


 私も凄いことをされすぎて感覚がにぶっているのかもしれない。キスマークなんて……


「どこがいいですか? やっぱり首筋?」

「どこでもいいよ……」

「じゃあ首筋にしますね」


 リンフィはそう言うと私の首筋に顔を近づけ口を当ててキスマークをつけた。


「いっ……あ、ふ……ぁ」


 リンフィが私の肌に吸い付く。その刺激が私の身体を震わせて情けない声を上げる。痛いようだけど、気持ちいい。


「んっっ……」


 リンフィは口を離した。


「上手く出来ましたか……って、なんですかその顔」


 私は相当すごい顔をしているらしい。あぁでも……頭が蕩けて何も感じられない。


「はーっ、はぁ。ん……?」

「そういうの、反則ですよ。ミアリス」


 リンフィは顔を赤くしてもう一度キスをする。今度はいつもより激しい。水音が、お風呂場に響く。

 お風呂に入るつもりだったのに、お風呂に入らずしてこんなにも汗をかいて熱くなってしまうなんてまるでサウナみたいだ。これも全部、リンフィがあんなことしたせいに決まってる。でも抵抗は出来なくて、私はリンフィに身を預けることしか出来ない。


「ミアリス、可愛いです」


 口を離したリンフィが言った。もう一度キスをするのかと思ったけど、今度はしないらしい。リンフィの行動に私の体はもうクタクタで、今にも倒れてしまいそう​───


「ちょっと、ミアリス!?」

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