第144話 VS 山主コラボ その二
「──はいどうも。デンジラスのスーパー猟師、山主ボタンです。本日は異性オフコラボ強化期間、第三弾ということで! こちらの方にお越しいただいております」
「こんばんはー! 現代に蘇ったいろは唄の精霊、色羽仁ウタです! 今日はよろしくお願いします!」
:きちゃぁ!
:待ってた
:ウタちゃんだー!
:告知見てから超楽しみにしてた
:きちゃっ!
:ばんわー
:待ってたよー!
:凄い楽しみだった
:きちゃぁ!
:待ってました!
:楽しみー!
というわけで、配信開始である。大切な話とやらが気になるところではあるが、それはそれ。裏での会話を配信で出すのはナンセンスなので、表面上は何もなかったの精神で進めていく。
「いやー、正直なところ驚きですよ。まさかライブラの人とまたオフコラボできるなんて。しかも今回はサシですからね。……良かったんですか?」
「良いに決まってるじゃないですか! 山主さんは私の命の恩人なんですよ!?」
「あ、ボタン様呼びは終わったんですね」
「アレは緊張による暴走なんでなかったことにしてください!」
裏と表で呼び方分ける感じかなって思ってたけど、どうやら違うらしい。ちょっと残念だ。個性的な呼び方で嫌いじゃなかったんだけどな。
「で、話を戻しますけど。確かにライブラは……その、独自路線って言えば良いんでしょうか? 活動が事務所内で完結しがちですけど、最近はその辺りも変化していってるので。FPSの大会とかだと、外部の人たちと通話したりもしますし。異性同性問わず」
「あー。みたいですね。俺はそっち系の配信は見ないんで、あんまり詳しくないですが」
「……意外です。山主さんなら、見ていてもおかしくないと思ってたんですが。結構大きな大会ですし」
「そもそもFPSをやれないですしねー。何やってるのかも分からないんで、あの手のゲームの配信は基本スルーしてます」
「あー……」
:対戦ゲーができないからね
:やってないゲームの配信はなぁ。興味持てないよな
:分かる。専門用語も多すぎて会話すら分からん
:FPSできないのはな……
:『やらない』じゃなくて『できない』だからな、山主さんは
:分かりみが深い
:山主さんの数少ない欠点。対戦ゲー全般をプレイできない
:チートになってしまう悲しみ
:見たいんだけどなー。山主さんのエピックス
:FPSは客層が結構はっきり分けられてる印象
:だからこそオフコラボを多用せざるを得ないという
手を出しても切り抜きぐらいかな? と言っても、プレイではなく雑談メインの切り抜きだけど。
FPSはマジで畑違いすぎるからね。神プレイ、なんて言われてもよく分からんし。大抵はやったらできるだろうから、余計に何が凄いのか分からんのよね。動作の精密性が違うから仕方ないんだけど。
「まあ、ともかくです。うちもまた外部との交流が増えてるんですよ。……流石に男性とのオフコラボは滅多にないですけど、それでも山主さんは例外です。経緯が経緯ですから、私に限ってはほぼフリーパスみたいなものですよ」
「そんなもんですかねー」
「はい。予定さえ合えば、呼んでくれれば何時でも駆けつけちゃいます。……と言っても、最近は私以外にも、そんな感じの子たちがいるんですけどね」
「へ? ライブラの人たちで、ですか? 心当たりないんですけど」
そりゃあ、ウタちゃんさんの件があるし、交流がないとは言わないけどさ。それでも大半がチャットを交わすぐらいだしなぁ。
強いて言うなら、一度コラボで会ったてんてんさんぐらいか? ウタちゃんさん以外で、ちゃんとした絡みがあるのって。
「ライブラEの子たちですよ。ある意味、私と似た立場の子たちです」
「あー……。そういえば、ライブラさんって海外展開してましたね。アメリカ出身の人もいたのか」
「いたんですよ。……まあ、出身地関係は基本的にシークレットなんですけども」
「……じゃあ言っちゃ駄目では?」
「アメリカ勢に限っては、本人たちがポロリしちゃってるので……。仕方ないことではあるんですけど」
:リアスとスター、エアリアルだっけ?
:アレは仕方ない
:あの状況で隠せって方が無理
:ライブラリアン組もそうだけど、アメリカ勢は配信で皆山主に感謝してたからな
:リアスに至っては、テキサス出身ってことまでぶっちゃけてたしな
:そらオフコラボも望むところですわ
:ばーちかるEの人らもそうだけど、アメリカ出身のライバーはほぼ全員山主さんガチ勢になった
:リアルガチで救国の英雄やからな
:呼べば来るってのも納得
:配信で熱烈に語ってたからな
:山主さんは自分の偉業に対して無頓着すぎる
なるほど。道理で。いや、オフコラボ強化期間を宣言した時、英語のDMが結構多くてさ。アメリカ関係はまだちょっとセンシティブな話題だし、オフコラボのために来日してもらうのも悪いと思ったから、断ってたんだけど……。
「実はですね。今回コラボするにあたって、リアスちゃんからお願いをされておりまして。できればで良いんですが、今度アメリカ出身の皆と会ってあげてくれませんか? それこそ、ライブラリアンの人たちも含めて」
「……大型コラボ的な感じでですか?」
「そうですそうです。もちろん、山主さんのご迷惑でなければですけど」
「そういうことなら構いませんよ」
個々でかつ、俺一人のために来日となれば申し訳なさが先に来るが、大型企画としてひとまとめに来てくれるのなら話は変わる。心象的に大分気楽だし、言い方は悪いけど手間も少ないしね。
「……あ、でもアレか。Eの人たちと会うのは構わないんですが、直ぐにってわけにもいかないかも。申し訳ないんですけど、ある程度時間を置くことになるかと」
「そうなんですか?」
「はい。先約があるので、会うのはそれを済ませてからですね」
「先約?」
「ミスター・サムとバーベキューをする約束をしてまして。これを優先しないってのは、あまりに不義理でしょう?」
「あー……。それを言われたら、何も反論できないですね。リアスちゃんたちに伝えておきます」
:それはそう
:圧倒的正論
:ファンとしてはE勢を優先してほしい気持ちもあったけど、これを言われたら黙るしかない
:大統領には勝てんよ……
:あまりにも正論すぎる
:流石にこの約束に割って入るのは無理や
:厄介勢すら黙らざるを得ない
:相変わらず義理堅いな山主さん
:草
:あのラストシーンは是非とも実現してほしいし、なんなら配信してほしい
:アメリカ勢も絶対に遠慮するやつ
:約束の相手が大統領って強すぎんか?
まあ、正直なところ何時になるか分からないんだけどねー。今は向こうもハチャメチャにごたついてるし、テキサスを中心にあちこち復興しなきゃだし。
わりと真面目に半年ぐらい掛かりそうなのがなんとも……。流石にそれまで音沙汰無しで待たせるのもアレだし、ウタちゃんさん経由で連絡先だけ交換しておくか。
ついでにばーちかるEの人らにも、訊くだけ訊いとこ。こっちは沙界さん経由になるかな?
「あー、ではちょっと話を本筋に戻しまして。企画の説明に移りましょうか」
「そうですね! じゃあ、私の方から説明させていただきます! 本日の企画は──」
ーーー
あとがき
前回の感想で『Eって?』と内容がちょくちょくあったので、入れてみたら一話使っちった。てへぺろ。
まあ、本章最後のエピソードなのでね。ある程度長くなってもね。うん。
あ、でもちゃんと恋する乙女の強かさは描いたのよ? 皆さんは分かったかな?
ヒントは『配信の場でアメリカ勢とのコラボをお願いした』です。
さあ、この裏に隠された思惑とは? 答え合わせは次話のあとがきで。分かったかもって人は、コメントに書いてもおkですよ。
それはそうと、引き続き書籍版の一巻と二巻の購入、あとコミカライズ版の拡散をよろしくお願いいたします。
あと星もください。もう少し三万行きそうだし。……千ちょいってもう少しか?
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