第13話 ヒジャーブ

「I saw your Facebook and messaged you. Please be my friend on FB. 」

フェースブックのMessengerにメッセージが届いた。

エキゾチックな女性の写真が添付されている。

「My name is Karim Amir. I am in a refugee camp in Lebanon. Please be friends with me. 」

レバノンの難民キャンプに住んでいる!?友達になってくれ!?

ヒジャーブ(スカーフ)で黒髪を覆っているが、なかなかの美形である。

フェースブックに中東の美女から突然友達申請が来るなんて、転変地変の前触れなのか。写真を凝視しているうちに下心が疼いてきた。

しかし、待てよ、最近流行りのロマンス詐欺か?

それなら少し相手になって、どのような状況になるのか確認してみよう。


「I used to live in Damascus. My job was a nurse. 」

ほぉ、ダマスカスで看護師をしていたのか...

「A wealthy family before the start of the civil war, a royal family. 」

ロイヤルファミリーだって!?王族の娘ってか?王族の娘がフェースブックから山形の田舎オヤジに友達申請なんてあり得ないじゃないか。

「I have assets left by my father in a Swiss bank. 」

きたきたきた!スイスの銀行に父の資産が有るってねぇ...なるほど、なるほど。

「I am in a refugee camp and do not have access to Swiss banks. Please help me. I will reward you in dollars. 」

手助けすれば謝礼をドルで貰えるのか、面白くなってきた。

「If I escape the refugee camp and go to Beirut, I can access a Swiss bank.

I want you to help me with the funds to escape. 」

ベイルートに行きたいのか、行くための費用を援助して欲しいのか。

「When I inherit my father's property, I will visit you. 」

あらあら、私に会いに来るってねぇ...

さて、いくら欲しいと言うのだろう。

「Please transfer 1,200,000 yen to the ordinary account number ○○○○ of ××× bank. 」

やったー!120万円振込んでだって!

それに、この銀行は日本の銀行だよ!? なんじゃこりゃ!?


こんなのに騙される人が居るんだね~

でも、本当にこんなエキゾチックな女性が会いに来てくれるのなら...

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