第7話 FAX

 朝、事務所を通り二階の自室に行こうと階段を上りかけた時、遠藤女史がニヤニヤしながら声をかけてきた。

資料のようなものを持っている。

「常務だべ こだなFAX頼んだの やんだったら!」

「なにや? 何も頼んだ覚えないげんとな...」

手渡されたB4サイズのFAX用紙を読み始めた。


『あなたに朗報! 噂の薬が手に入る! 直輸入通信販売!』

(なんだこりゃ? ダイレクトメール?いやダイレクトFAXメールか?)

『あなたの悩みは1錠で解決!』

『事故防止のため下記の質問用紙に記入の上お申し込み下さい』

『あなたの症状に当てはまるものを○で囲んで下さい』

『1.全く堅くならない』

『2.時々堅くなる』

『3.堅くなるが持続しない』

『4.堅くなるがフィニッシュしない』

(こんな質問に真面目に答えるヤツが居るのだろうか?)


「常務 こだなもの使わねど もうダメなんだがっす? ギャハハハ」

「バカなごど言うなず! まだまだオレだて...」

(現役バリバリなんだぞ!!!)と言おうとしたが、それほど自信があるわけではない。

いや、自信がないかなぁ...そう言えば最近あまり...


手に持ったFAXを、もう一度じっくり読み返すことにした。


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