第5話 no problem

 孫娘の中学校にマイケルと言う英語の先生がいる。

東洋系の顔立ちのためか、山形市内の繁華街を歩いていてもあまり目立たない。

独身でハンサムの部類に入るのだろう、結構人気があるらしい。


 買い物に行きたいというので、孫娘を乗せて七日町通りを走っていた。

信号待ちで停車していると、孫娘が窓を開け大声で手を振っている。

「マイケル-ッ!」

マイケルと言えば、猫の漫画かマイケルジャクソンを思い出してしまう私だが、挨拶をしなくてはと思い車を停めた。

「どうも いづも孫が おしぇわさまです」

「おー 家の方ですか~?」

日本人が、外国人の喋る日本語を真似たようなイントネーションであった。

「どごさ んぐんだっす? よがったら おぐて んぐけど」

「さすかえないがら ありがどさま」

一瞬驚いた。山形弁が飛び出したのである。

孫娘に聞くと、マイケル先生は山形弁が好きらしい。

英文を訳すときにも、時々山形弁が混じるそうだ。

最近では no problem が出てくると、この意味は「さすかえない」と言っているらしい。


なかなか立派な先生である。

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