第163話

「焼きたてのピザ、おいしかった〜」


 美味しいピザに満足して、お腹が膨れた私はゴロンとベッドに寝転んだ。やはり新しい植物の発見と、効能を知れるのは嬉しい。もっともっと冒険に出て、博士に聞いてこの世界の植物を発見したい。


「まだまだ、やりたい事はたくさんある。――そうだ、みんなが嫌いな、ポーションをいちど作ってみよう!」


 確か材料は――ククミン、タタメリック、コリアンダダを魔法水で、魔力を加えながら煮込むと言っていた。今日はみんなピザでお腹は膨れているだろうし、カレーは明日作ろう。


 そう決めて、寝ていたベッドから体を起こした。


 


 エルバの畑で収穫したククミン、タタメリック、コリアンダダを、魔法水を沸かした鍋に入れて煮込んだのだけど。なんともいえない香りが、テントの中に充満した。


「んん? ほんとうに、これがポーション⁉︎」


 色はなんとなく、タタメリックのお陰でカレー色。だけど……パクチーとか、色々混ざった独特の香りがする。回復するポーションだから、これを飲めと言われても正直飲みたくない。


 一応、博士に聞こう。

 博士、これ……ポーションなの?


《はい、ポーションです。エルバ様の畑で収穫した、ククミン、タタメリック、コリアンダダを使っているので回復は最大となります》


 最大回復かぁ。

 ほんとうにポーションなんだ。私、パクチー苦手だし、飲まなくてもいい……あ、ダメダメ! ポーションの味を知るためには、まず味見はしなくちゃね。


 覚悟を込めて私は煮込んだポーション? らしきものをコップに注いだ。かすかにパクチーも匂いがする……苦手だけど。


「いくぞ、ポーション飲むぞ……」


 いっきにポーションを流し込んだ……わぁカレー水? いや苦い? ピリピリ? が合わさった変な味がする。

 

 これ、みんなが苦手なのがわかる。全体的に体力が削られる味だけど、やはりポーションなのだろう。


《エルバ様の体力が最大値まで、回復いたしました》


 と博士が言った。



 ――良薬口に苦し、とでも言うなかなか。


「うーん。カレーを作るのに必要なスパイスだけど、もしかして量に問題ありじゃない?」


 それと葉の部分はやめて、スパイスだけ煮込めばいいとか? 自分で作った"ヤバいポーション"をいちおう容器にしまい、もう一度ポーションを作ることにした。


「今度は魔法水を沸かしたら、味見しながらスパイスを入れてみよう」


 そうすればカレー味のポーションらしきものが、できたりして。

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