第148話
おお、巨大なナマズ? 湖から丸っこい顔だけを出して、キョロキョロして私たちを探しているみたい。なに? イラストに出てくるナマズのようなフォルムで……可愛い。
巨大なナマズは大きすぎて、近くにいる私たちが見えないのか、キョロキョロして。
「誰だ? 誰がいるぬるか?」
と首を傾げた。このナマズはぬるが口癖? ――か、可愛い。
私は両手を振り、ナマズに答えた。
「おーい、ここにいるよ」
「フウッ、ヌルスケ……ワタシ達にすぐ気付いたくせに……よくやるな」
「え? ボク、気付いていないぬる」
「相変わらず。ヌルスケは可愛いですね」
「そうなの。ボクは可愛い! この湖の人気者、電気ナマズのヌルスケぬる――!!」
ドンガラカッシャン! ヌルスケ君は自己紹介のあと、私たちの目の前に雷を降らせた。おお、新しいサタ様とアール君の個性的なお友達かぁ。この毒草が生い茂る、毒沼のアイドル的存在なんだね。
「あなた達の名前を、ヌルスケに教えて欲しいぬる」
「私はエルバです!」
「お前……サタナスだ」
「アールといいます。よろしく」
「エルバ、サタナス、アールかぁ。君達はここに何しに来たぬる?」
首を傾げるヌルスケ君、いい。
「私達がここへ来た理由はね。この場所で採れるタメリックと、コリアンダダを探しに来ました」
「ほほう、タメリックと、コリアンダダかぁ。この辺の草は20年前くらいに、すべて毒草へ変わったからないぬるよ」
「ええ! ここに、ないの?」
「ほぉ、そうか」
「それは残念です」
ええ……カレーへの第一歩がくじかれた。2人は苦手なポーションが飲みたくないらしく、喜んでいるのがわかる。
(カレー美味しいのに。カレーが食べたい、お口はカレーになってるのに!)
「落ち込まなくても大丈夫ぬる。魔女さんに頼めば分けてくれるぬるよ」
魔女?
私と一緒。
「ほんと! その魔女さんはどこにいるの?」
「うんとね。ここから西側の洞窟だったかな? ぬるぬる」
西の洞窟? 行ってみなくちゃ。
「ありがとう、ヌルスケ君いってみるぬる!」
「フフ。ぬるぬる」
「ポーションの素材をもらいにサタ様、アール君に行くわよ!」
「「ええ――」」
うなだれる2人を引っ張り、西の洞窟に向かった。
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