第147話

 サタ様とアール君と話して、王都から東のコース湖のタタメリックと、コリアンダダの採取から回ることにした。が2人は現地に着いたら、狩に出ようと話をしている。


「サタ様、アール君、コース湖までついてきてください! 私の使い魔なんでしょう? 私がもしケガをしたら……サタ様とアール君にも何か起こるんじゃない?」


「うむ。そうであったな」

「すっかり、忘れていました」


 私だってあまり言いたくないけど、1人で行くのは少し怖いから護衛して欲しい。


「わかった、サッと採取をして狩りに行こう!」

「サッと、採取を終わらせましょう」

「…………」


(ほんとうに、苦手なんだね)


 2人の苦手な味のポーションかぁ。香辛料だしグツグツ煮込んだら、スパイシーな美味しい味がすると思うんだけど。異世界にはカレーもないから慣れない味なのかなぁ~



 私達はホウキにのってコース湖がある、アイリーン森に降り立った。

 ついて早々に驚いた。湖の付近には立ち入り禁止の錆びた看板と柵が設置されて。その柵の中には色とりどりの毒草らしき草が生い茂っている。


 な、なんだこれは⁉︎

 全て毒草だったら、数がヤバァイ~!


「お邪魔しま~す」

「うむ」

「失礼します」


 毒が効きにくい私達は、錆びた看板を超えて中に入る。毒耐性スキル付きだから、どんな味か試したいのよね。いま頭の上と肩にいる2人はポーッとしていてやる気のなさそうだから、私が毒草を調べていても気付かないだろう。


 ウシシ、今がチャンス!

 博士! よろしくお願いします。


《はい》


 博士これと、これと、これは?


《ドロドロ草、ニガイ草、スッパ草これらは痺れを起こす毒草です》


 おお、全部痺れ草かぁ。少し葉っぱをかじってピリピリしながら、タネを貰ってエルバの畑に植えた。


 こっちは?


《スル草、モドク草、イチコロ草は麻痺を引き起こします》


 麻痺は動けなくなるから、まずいかな?

 

 次だ、次の毒草だ! と行こうとした私の頭を、サタ様が嘴(くちばし)で突っついた。


「う、ぎゃっ!」


「エルバ……ワタシ達の目を盗んで、毒草ばかり調べて何をしている?」

「ふぇ? そ、そんなころ、しないろ」

「はい! 呂律もまわっておりませんし、腕に緑の斑点が出ております」


 アール君に言われて確認すると、緑斑点が腕に出ていた。


「キモっ! ……まあ、しばらくちたら治るにょ。毒耐性ついてるちぃ」

「うむ。そうだな……目を離したワタシが悪い」

「僕もですね」


 2人がウンウン頷いて。監視の目がキツくなって、毒草調べができなくなった。残念だけど……これ以上やるとママに報告されて怒られる、仕方がないここはあきらめよう。


「よ、よし~目的のタタメリック、コリアンダダをさがしょう」


 みんなでポーションの元になる薬草を探していた。見てもわかる通り、湖のまわりは毒草ばかりが生い茂り見つからず。必要なタタメリックとコリアンダダを探し、私達はコース湖の近くまできていた。


 あたりに毒草が多いせいなのか、湖の色は紫色に変色している。


「うわぁ、毒沼……」

「湖な。これは毒に汚染されているな」

「湖全体を浄化しないと、いけないかもしれませんね」


「浄化かぁ~」

「うむ……」

「……頼みたくないですね」


 みんなの頭にアマリアさんの顔が浮かび、コース湖を覗き込んだ私たちの前に。



「「おい! ボクの湖で何をしてるんだい?」」



 湖の中から、ヌウっと暗い物体が顔を出した。

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