第134話
たこ焼きを作ってから1ヶ月経っていた。
人数が増えてパパ達は領地に、みんなの家も作りはじめた。私とサタ様、アール君は一度、クエストを受けたギルドに向かい依頼の報告をした。
(受付嬢の人――ジロジロと、私達を見てきて嫌だなぁ)
――すごく、気分が悪い。
そう思っていたのは私だけじゃなく、サタ様とアール君もだったらしく、2人はすぐ念話で話しはじめた。
〈なんか変だな……〉
〈そうですね。ギルドの職員だけではなく、周りの冒険者達も、ボクたちをジロジロ見てきますね〉
〈え? サタ様とアール君もそう思ったの? 私の気のせいじゃないんだ〉
〈まあ、領地にしばらくいるつもりだから、気にしないでおこう〉
〈わかりました〉
〈その方がいいね〉
報告を済ませて依頼金をもらい、私たちは次のクエストを受けずギルドを後にした。――後でサタ様に聞いた話。ギルドでは数人の王都の魔法使い、S級の冒険者がいて、勝手に私達の魔力を計測されていたらしい。
しかしサタ様の変身魔法は完璧で、私達はただのF級の冒険者だと、検査結果も出ただろうとも話した。
このとき、サタ様だけは気付いていたが、エルバとアールには教えなかったと。気付かないのであれば、無理に言わなくてもいいと、サタ様は思ったのだとか。
「そっか。だから周りの冒険者たちも、変だったんだね」
「エルバは気付いていたのか?」
「うーん、正直に話すと。あの時、気持ち悪かっただけで、サタ様の様には気付いてはいなかった」
「エルバ、気持ち悪く感じたのか……多分、それは魔力計測器のせいだな」
「魔力計測器?」
「うむ」
魔力計測器とは、人が持つ魔力を隅から隅と調べる計測器。分かっていて調べるならまだしても――勝手にやられるのは体の隅々まで見られている様で、気持ち悪さしかないらしい。
「よく分からないけど。勝手に魔力とかを、調べられるのはちょっと嫌だし。しばらく冒険はいいかな」
サタ様とアール君は頷いた。
冒険に出なくなって1ヶ月経った。
ママ達の食の研究も進みにすすみ、コメ、コムギン料理が増えて、魔法都市の深刻な食糧難は無事解決したようだ。
いまでは変わった食べ物で溢れていて。前に作ったバターとチーズ、2ヶ月前に作ったたこ焼き、お好み焼きが……進化を遂げていた。バターケーキ、チーズケーキ、ダシたこ焼き、ムラサキ、一口お好み焼きどれも美味しかった。
領地にも次々と家が建ち、みんなの住む場所ができたし、お風呂もテント以外で作る予定。でも、みんなはテントのお風呂が好きで、昨夜はスライダー付き温泉プールにしたら、サタ様を始めみんなは朝まではしゃいでいた。
だから、今爆睡なんだけど。
一緒のお風呂に入れないと思っていた、アウドラムの家族と、ワイルドポポーのゲンさんまでテントの中に入れるなんて――神様仕様はなんて面白いの!
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