第133話

 まあ、たこ焼きとお好み焼きは、前世と同じにできないだろうし、我流でもある。

 みんなと楽しく作れればいいかな? 野菜とお肉で具を作り、たこ焼きとお好み焼き用の生地を作った。


 頼んでいたカマドが出来て、私の作業を見ていたパパは。


「何やら面白そうな、食べ物ができそうだな。ママを呼んでくる」


 と、ママを呼びにパパは家に帰って行った。

 パパと一緒に作る工程を見ていた、サタ様とアール君はワクワクしているようで。

 

「いまから、何が出来上がるか想像がつかん!」

「わかります、サタ様」


 2人は瞳を輝かせている。


「フフ、先にたこ焼きから、焼き始めるね」


 サタ様達が作ってくれたカマドに、アール君に頼み火をつけてもらい鉄板を乗せ熱する。鉄板が温まったら油を引き、たこ焼きの生地を均等に穴がある鉄板に流して。


 タコの代わりの、小さく切ったコーブラのお肉を一つずつ穴に入れて、みじん切りのキャベンツとショーガロンを入れた。 ムラサキをかけて、3分から5分くらい焼いて、生地の端が白くなったら串で返す!


 返す作業は面白いのだけど、不器用な私はよく失敗して、丸まらないたこ焼きを作った。ここにソースがあれば見た目を誤魔化せるが無いので、形の悪いたこ焼きはのは自分用にしよう。


「よし焼けてきた、ひっくり返します!」

「うむ」

「おお」


 2人は食い付くように見てきた……そんなに見られては難易度が上がるが、このままだと焦げてしまう。串で一気にひっくり返して……む、難しい! おかしいな、頭の中では成功してるのに。


「なんで、丸くならない!」

「おお! そうやって、串でひっくり返すのか?」

「面白いです!」


 やらせろと言わんばかりの2人に、やってみなさいと串を渡した。2人は知らないから出来ないだろうと鷹を括ったが――私よりも器用で、カリカリトでロトロのたこ焼きを見事に作り上げた。


「エルバ、どうだ見てくれ」

「う、うん」


 こっちがわたしが作った、たこ焼きで。

 こっちがサタ様とアール君のたこ焼き……どう見ても、2人に負けている。


「悔しいけど、サタ様とアール君のたこ焼き……美味しそう」


「そうか? たこ焼きを焼くのは中々に面白い」

「はい。クルクルと串で回す作業、楽しいです」


「それなら、たこ焼きはサタ様とアール君に任せる! 隣のカマドでお好み焼き焼くね」


「「わかった」」


 もう一枚の鉄板を、カマドにかけた。



 

 私達が魔法都市サングリア近くの領地で、昼食を作り、みんなと楽しく食事を始めたその時――学園の宿舎でアマリアは「おかしい! グルナ君、ローザン君……誰もヒロインの私に振り向かない!」と。


 黒魔術を使い、リリスと言う女性の悪魔を召喚に成功した。長い黒髪、黒い瞳のリリスはアメリアを見て微笑んだ。


「あなたは、悪魔のわたしを呼んで何を願いたいの?」

「あたしの願いは魅了魔法の力を強くして欲しい!」


「魅了魔法の強化? わかった、その願い叶えましょう」


 アマリアは悪魔リリスにそう願い叶ったが……魔王は悪魔の最上位に君臨する存在。果たして勇者の子孫グルナと、現魔王のローザンに魅了魔法が効くのかは、誰も知らない。


(久しぶりに呼ばれて、仲間とジャンケンして勝って来たのに――こんな、ちっぽけな魅了魔法の強化を悪魔に願うなんて、人間はおかしい。それに願いが小さすぎて、対価も貰えないじゃない)

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