第126話
「ユール殿、拙者をここまで送ってくださり、ありがとうでござった。拙者の住処はユール殿の家として使ってくだされ」
ピィ――!!!
「寂しいか――ユール殿、これでさらばではござらぬ。また会いに行くか、拙者のところへ会いに来てくだされ」
ピピー!
ラッテさんはみんなの前に降りて、乗ってきた大鷹に抱きつきお礼を言った。大鷹――ユールも挨拶をして飛び去っていった。
「城主、アール殿、寝床で旅立つ準備をしてきたでござる」
そう言ったラッテさんは背中に、小さな肩掛けカバンを背負っていた。
「よく来たな、今から飯を食べようと思っている。ラッテも一緒に食べよう」
「ありがたき幸せ。ぬぬぬ⁉︎ これはパワー殿、アビス姫ではござらぬか? お懐かしいですな」
そこにアビス君の家を片付けてきた、パワー様とアビス君もちょうど戻ってきた。サタ様とアール君のそばにいる、ラッテさんを見つけて近寄った。
「おお、ラッテじゃないか! 相変わらずだな。いや、会わないうちに……また強くなった。ところで相方のユキはいないのか?」
「これはパワー殿、お久しぶりでございます。ユキは100年前に旅に出たきりでござる」
「そうか……ユキなら、この大地のどこかで楽しくやっているな」
パワー様の言葉にラッタさんは「はい」頷いた。
「そう、だと思うけど。アビはユキにも会いたかった」
「これはアビス姫。焦らなくてもいつか、ユキに会えると思うでござる」
「うん、そうだね」
今、ここに――サタ様、アール君、パワー様、アビス君とラッテさんと、私がいる。
うーん、この人数だと3合のコメじゃたらないかな?
そうだ、コメ2合が炊けるメスティンでも、炊いたほうがいいかも。その前に出来上がった料理を、アイテムボックスから取り出したテーブルに並べた。
「カマドの鍋にスープで、こっちのメスティンにコメが炊けていますので、このシェラカップによそって食べてください。数が足りなかったら、このお皿も使ってください!」
「「ありがとう!」」
「コメとは初めて聞く食べ物でござるな。拙者はこの茶碗によそうでござる」
「美味しそう! アビはこのお皿で食べる」
「いい香りだ、どのような味か楽しみだ」
パワー様はシェラカップを取り、アビス君は自分のお花の模様のお皿? で、ラッテさんは持ってきた小さなカバンを漁り、自分よりも大きな陶器の茶碗を取り出した。
おお、そのラッテさんのカバンはマジックバッグだ……見た目は小さいカバンだけ容量は大きそう。
もしかすると、アビス君のお花の手提げカバンもマジックバッグだったりして……どうりで手荷物が少ないと思った。
「なくても美味しいと思うけど……焼きたての焼き魚と干物焼きたに、ダイダイコンのおろしにムラサキをかけて食べてみてください」
みんなが「わかった!」食べ始めたのを見て、私はコメ草を収穫した。さてと袋にコメを取り出して炊こう、足りなくなったら次は鍋かな?
「エルバ、ワタシも手伝おう」
「ありがとう、サタ様」
サタ様がきて、2人になったのでもう少しコメ草を収穫して。メスティンはポケットストーブでほったらかし炊飯、鍋はカマドにかけた。みんながいるテーブルに向かい、焼きたての干物を一口食べる。
おお!
味は前世とは違うけど、久しぶりのお魚は最高! 干してあるからか、うま味が凝縮していてこのままでも美味しい。塩焼きは油が乗っていて美味しい!
干物を初めて食べるみんなはと見ると、骨から身を外さず手づかみで、頭から骨ごとバリバリ音を立てて食べていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます