第127話

 バリバリ、ボリボリ良い音が響く――なんて、ワイルドな食べっぷりだ。そして食べる勢いもよく、焼きたての干物が消えていく。


「みんな、食べっぷりが良いね。サタ様、お肉残ってるのも焼く?」


「そうだな――ラッテは小さいが、エルバ並みに食べるし、アビスとパワーも食べるな」


「はい、ボク以上サタ様未満です」


「すごっ!」


 これでは、いま用意した料理はすぐになくなると。

 サタ様のアイテムボックスからコロ鳥、残っていたコーブラを取り出して捌いてもらった。


「肉が捌けたぞ」

「ありがとう!」


 捌いたコロ鳥の両面をスキレットでこんがり焼き――コムギン粉、塩コショウ、すり下ろしたシャウガロンとムラサキ、アビス君のハチミツ、お酒を使い照り焼きチキンを作り。コーブラは一口大に切り串に刺して、卓上コンロで塩コショウ焼きを作った。


「みんな! 照り焼きチキンとコーブラの串焼き出来たよ! 食べて!」


「ありがとう、エルバ」

「いただきます」


「そうだ、ジャロ芋も食べる?」


 エルバの畑からジャロ芋を収穫して、ジャロ芋バターを作ろうとしたサタ様の黒い羽が止めた。驚いて顔をあげると、みんなの箸の手が止まっている。


 え、ええ? まさか……あちゃ、私が遠慮させてしまったようだ。


 ――だってさ。


「嬉しかったんだ。みんなが"美味しい"って言ってくれるから、作るのが楽しくなっちゃってた……」


「うむ。すべての料理を食べてから作れば良い。エルバもしっかり食べなさい」


 と、さとされテーブルに連れて行かれた。


 食べかけのシェラカップのコメと、焼き魚を食べてほっこりすると。みんなも止まっていた手を動かし、出来たばかりの照り焼きチキンと、コーブラの串焼きを食べだした。


「エル! アビ、コロ鳥の照り焼きチキン好きだよ」

「余はコーブラの串焼きと干物が良い」

「拙者、すべて好き過ぎて箸が止まらぬでござる」


「ありがとう!」


 コロ鳥はモチ鳥より一回り大きく、脂肪少なめの胸肉に似ている。モチ鳥は柔らかくてもも肉に近いかな? どちらを唐揚げにしても美味しいだろう。


「エルバ、この照り焼きチキン美味い。今度これでサンドイッチを作ろう!」


「チキンサンドかぁ~いいね」

「ラッタ殿の言う通り、箸が止まりません」


 みんなの食べる勢いは止まらない、私も負けずに箸を伸ばした。


 そんな私達を見てか「グゥウウウウッ――!!」っと、盛大な音が複数、洞窟の方から聞こえた。

 みんなは気付いていたのか、食事の手を止めず大笑い。


「エルバ、ソーロの家族が目を覚ましたらしい」

「毒も抜けて、元気になったようです」

「……よかった」

「クク、立派な音だな! 元気になった証拠だな」

「そのようですな! ハッハハ」


 そう、この大きな音は……美味しい匂いに釣られた、病み上がりの黒キツネ家族のお腹の音だ!

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