第123話

 ……おう、アビス君のその話はアマリアさんの事かな? となると、あの小説にアビス君が登場していた、ということになるのか。私は最後まであの小説を読んでいなかったから、知らない内容だった。


 サタ様のときもそうだったけど、可愛くて、綺麗なアビス君を手元に開きたかったのかな?


 アビス君の話に、サタ様とアール君は顔を引き攣らせた。どうやら、ここに訪れたのがアマリアさんだと気付いたみたい。


「……アビス、その者の話はやめろ、しなくていい」

「はい。こんな所まで来ていたのですね」

 

「え、わかった……それで今日、サタナス様達は何をしにここに来たの?」


「それはな」


 アビス君にソーロ君達の家族の話をした。

 その話に驚き、アビス君は眉をひそめた。


「ええ? フラン草とコルチ草? 茎が紫色のほうが毒⁉︎」

 

「そうだ、アビスも気を付けろよ」

 

「アビは気をつけるけど……あのね、サタナス様。アビが、その薬草をお茶にすると体にいいって、ソー君の家族に話したの……ど、毒のことは知らなかった」

 

「そうか、だが安心しろ。解毒薬の作り方はエルバが知っているから」


「この子が解毒薬の作り方を知ってる? ほんと?」


 アビス君にコクコク頷いた。

 

「だから、ボクたちはここに来たんですよ。解毒薬を作るのにアビスの蜜が必要なんです」


「アビの蜜? それって……」

 

「アビス! へ、変な捉え方しないでもらえますか! 君の蜜じゃなくて、君が作るハチミツの方です」

 

「ハチミツ? あ、そっちね」

 

「……アビス!!」


 ――アビス君に会ってから、アール君が本調子じゃなくて、どこか変だ。


「ククッ、タジタジだなアール」

「サタナス、相変わらず2人の会話は面白いな」


 サタ様とパワー様はその訳を知っている様で、見守りながら、2人は笑っていた。


「サタ様、パワー様知ってるの?」


「わー! わー! エルバ様、大昔のことです! サタ様、パワー様、エルバ様には言わないでください!」


「わかった、わかった、エルバには言わん」

「余も、言わないでおこう」


 そんなに慌てると。

 ますます、気になるのだけど!


「絶対に教えません! アビスも話さないように!」


 頑なに話さないで、と騒ぐアール君に無理やり聞くのもなんだが悪いし。アビス君にハチミツを貰ってソーロ君達の解毒薬を作ろうっと。


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