第120話

 私の体に浮かんだ紫色の斑点。それを見たソーロ君はテーブルの上の薬草を手に取り、両方の違いを見つけて驚いていた。


「本当だ! 2つの葉っぱの形は似ているけど、茎の色が違う……いまのいままで、気付かなかった」


 落ち込むソーロ君。

 

「大丈夫。今、2つの違いを知ったから、今度からソーロ君達が気をつければいいんだよ。解毒薬はもう少し、待って欲しいかな」


「エルバ様、ありがとうございます」


《エルバ様、コルチについて捕捉いたします。コルチは毒耐性がない方には猛毒となります。コルチの毒は体をめぐり皮膚は紫色に変色し、意識朦朧となります。》


「猛毒⁉︎」


 このコルチの毒。私の時は2、3日置いておけば、自然と紫色の斑点は消えた――これは毒耐性がある私だから。となると、ソーロ君の家族も毒に耐性があったんだ。


「エルバ様、猛毒とは?」

「そうだエルバ、猛毒と言ったな」

「はい、猛毒と言いました」

「サタ、みんなも落ち着け、それで朦朧とは?」


 おおう。みんながグイグイ迫ってくる。


「捕捉です。コルチの毒は猛毒で、毒耐性がない方は危険だと、教えてもらいました」


 そう告げるとみんなは驚いた様子。その中でソーロ君の家族は毒耐性を持っていたのか、どこかホッとしていた。


「ハハハ……ボクたち黒キツネ族に毒耐性があって…………よ、かった」


 ハァ、ハァ……辛そうな息を吐き「実はボクも、そのお茶飲んでいたんですよね―。あとお任せします」と崩れ落ちたソーロ君を、サタ様が鳥の羽で受け止めた。


「うむ。かなり熱があるな……よく、この体調で今まで、隠し通せたものな」



サタ様は空いているベッドに「もう大丈夫、落ち着いて寝るんだぞ」とソーロ君を寝かせた。そうだ、彼らに毒耐性があるけど症状は私と違う――早く、早く解毒薬を作らないと。


 博士、コルチの毒の解毒薬を知りたいです。


《はい、はーい。コルチの解毒薬の作り方は調合の壺にフラン草3本とコルチ草半分――甘くてトロトロ、このコーサックの森の奥に住む、魔族アビスのミツが必要です》


 アビスのミツ? ……今回はクイズ形式じゃなかった。

 博士は魔族と言ったし、サタ様達に聞けば分かるかな?


「サタ様、アビスという魔族を知っていますか?」

 

「アビス? アビスだと、あの変態か……」

「アビス様⁉︎ ボ、ボクは無理です、あの方は怖い」

「おお、アビスか! ククク、面白いやつだよな」


 サタ様は変態だと言い。アール君は「ムリ、ムリ、ムリ」ブンブン首を横に振り、パワー様は面白いと笑った。


 みんなの知り合いみたいだけど、魔族アビス……どんな魔族かわからなかった。

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