第119話
「エルバ、行くぞ」
「うん、今行く……ん! サタ様、少し待って」
近くに見えた、あの赤い勾玉の形はもしや!
博士、食べられる?
《はい、野生のママンゴーという果物です。 高さ10~20m以上になる常緑高木に実ります》
ママンゴー、マンゴー! フルーツの王様だ。
効能は?
《その実を乾燥させますと、美肌効果、腸内環境を整える効果あり》
おお! タネを頂戴。
《かしこまりました》
博士に、タネを貰って畑に植えた。
ありがとう、博士。
これで、いつでもママンゴーが畑で採れるから。
ママンゴーシャーベット、完熟したママンゴーが食べられる。乾燥させてドライフルーツにしてもいいし、シュワシュワに入れても絶対に美味しいだろう。
みんなにお礼と、終わったと伝えようとしたけど。ソーロ君とパワー様、サタ様、アール君に囲まれて……ガン見されていた。
「サタナス、エルバとやらは中々面白い能力を持っているな」
ウンウンと、黒キツネのソーロ君も頷く。
「そうだろう。今見ていたエルバの畑はなかなか良いぞ。エルバがこれまでに見つけた、いろんな種類の薬草、毒草、食物が植えられている」
「その畑から収穫できるんです」
「なんと、そのような能力を見たものは……いまの今までない。エルバ、その能力を大切に使うと良いぞ」
「はい、パワー様」
❀
ソーロ君の案内でコーサックの森の中を歩き、壁に出来た大きな洞窟の前までやってきた。
「ここがボクの家です。中に家族がいます」
案内しますと、中に入っていくソーロ君な後に続いた。
この洞窟の中は広くキッチン、トイレといった部屋がいくつもあり。奥の広い部屋には家具、ランタン、ベッドが並べて置かれていた。
そこにソーロ君の家族なのだろう、黒キツネと小狐達がうなされ寝ていた。ベッドの側にあるテーブルの上に水差しと一緒に置かれたカゴ。その中に長さが10センチくらいの大きさで、細長い緑色の幾つもの葉を付けた、茎の部分が紫色と白い薬草が入っていた。
――あの紫って、あれよね。
私が子供の頃、紫色の斑点をつけて家に帰って、ママとパパに怒らる原因となった――コルチじゃない? でも、茎が白く、コルチと似たような薬草もある。
博士、これって
《エルバ様、紫色の茎の草は毒草のコルチですが。白い茎はフランと言い乾燥させてお茶にしたり、料理の色付けに使われる薬草です》
2つとも茎の色が違うだけで、似ていた。
まさか、似ているから間違えて採取してしまった……ありうる。
「ソーロ君、テーブルの上の薬草は何に使っているの?」
「これですが? これはフランと言って、乾燥させてお茶にして飲むんです。体にいいんですよ」
私は紫色の茎のコルチと、白い茎のフランを手に取った。そしてコルチの方をかじった。
にがっ……この味だ。
その行動と体に浮かぶ紫の斑点に、いままで黙っていたサタ様とアール君が気付く。
「エルバ、今食べた草は毒草だな」
「毒草? その紫色の斑点……ママ様に聞いたことがあります。ボクと知り合う前、エルバ様が紫色の斑点をつけて帰ったきたことがあると……まさか、その薬草がそうなのですか?」
苦さで口が開かず、コクコク頷いた。
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