第111話

「ラッテがここにいるのなら……強い魔物はおらんな。お前がSS級だろう?」


「城主、拙者がSS級かはわからんでござるが。このカサロの森で強いのは拙者しかおらぬ。100年ほど前に相方のドラゴンのユキ殿は「ここも、飽きたな」と、人型となり旅に行き申した」


「そうか、ユキはいないのか」


「……はい」

 

「旅に出てしまったのですか……残念です。ホワイト・ドラゴンのユキに会いたかった」

 

「アールはユキを気に入っていたものな。そう焦るな、ワタシ達が冒険者を続ければいつか、何処かで会える」


「はい、そうですね」


 ええ話や、と。私は新たな草を見つけてウキウキしていた。やっぱり新しい森は新しい薬草、食物、食物を発見できるのは楽しいが……ラッテさんと話しながらも、2人の視線が厳しく飛んでくる。


 


 博士、この赤い花は何?


《イチイという、毒の花です》


 毒の花?


《食しますと。食べますと眩暈をおこし、お腹を下しますが。○○○の解毒薬に使えます》


 おお、何かの解毒薬の素材のようだ。


 こ、これは。


 少し前、調合レベルが上がったからか……博士のセリフが違った。もしかすると毒草の中には、解毒薬の素材になるものがあるんだ――面白い。


 博士、タネを頂戴。


《かしこまりました》


 タネをもらって、エルバの畑に植えた。

 毒草が解毒薬になるのなら、いつ何があるかわからないから。毒草もバンバン見つけてもいい。


 でも、何と組み合わせて解毒薬になるんだろう?

 それを見つけるのもまた、楽しみだ。


 ――次の薬草は? と、新たな植物を探そうとしたが……頭の上に、モフンと感触を感じた。


「ふむふむ。エルバ、静かだと思ったら……毒草を見つけたのだな」


「サタ様?」

 

「エルバ、それはワタシでも知っているぞ。イチイと言う毒花だ」

 

「そうでござる」

「ええ、そうですね」


 頭の上にはサタ様。足元にアール君とラッテさん……ううっ……お目や付けが1人増えた。




 みんなが言う通り毒花だけど、これは違う。解毒薬になる毒草だらかと説明して分かってもらえたが、食べるのは禁止された。


「……わかった、食べない」

 

 そう伝えて納得してもらい、残りのローボをサクッと倒して、冒険者で受けたクエストを終えた。次に、サタ様達はカサロの森の奥に行くのかと持ったけど、ラッテさんより強い魔物がいないらしく。


 次の目的地、マーレ港街に向かうと言った。


 ラッテさんも一緒に行くのかと思ったけど、魔法都市の近くにある、領地の話をしたところ。


「城主。拙者、旅に出る準備がありますゆえ。夕方ごろ、マーレ港街に向かうでござる」


 と、カサロの森の奥に戻っていった。

 

 サタ様が言うには寝床を片付けるか、相方のユキが戻ったさいに――自分の居場所を教える、暗号を残すのだろうなと、言っていた。


「さて、エルバ、アール。ワタシ達はマーレ港街に行こう!」

 

「はい、行きましょう」


 ホウキに乗って、港街に向かった。

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