第109話

「この、どら焼き、ヨーカン……アンコが前より美味しい!」

「梅干しもまた美味かなったな」

「シュワシュワゼリー最高です!」


 王都にある鬼人のお店でオニギリ、和菓子、デザートをたんまり買い、カマロ森の近くまでやってきて、お昼を食べていた。


「このどら焼き美味い! アンコがワタシの好きな甘さだ」


「はい、上品な甘さです。サタ様、このヨーカンも美味です


 サタ様とアール君の話し方は通な人みたい。でも、どんどん魔法都市のご飯が美味しくなってる。だから、ウチに帰るのが楽しみだ。


(コメを団子にしていたけど……ちょっと粒が残るから、もち米が見つかるとお餅が食べれる。カタクリ粉で白玉とかわらび餅もいいかなぁ)


「あ、サタ様……私のお団子、全部食べましたね」

「ん? 食べるぞと言ったぞ」


「この、おむすび中に甘辛い味付けのお肉が入っていて、美味しいです」


「こっちは煮卵だよ」

「煮卵?」


 みんなで温かい紅茶砂糖なしを飲みながら、まったり昼食をとった。煮卵といい……お肉の甘辛煮、凄すぎる。食べ終わったら私も、サタ様達のローボ10匹討伐のクエストに参加させてもらう。


 昼食が終わり、みんなでカサロの大深林に向かう。

 この森はFランクから、SSランク級の魔物がいるらしい。サタ様達の目当てはその、SS級の魔物と戦うことみたいだ。


 まず初めに、ローボ10匹討伐のクエストから始める。

 

「エルバに身体強化の魔法をかけて、危険だと判断したら、すぐに外に出すからな」


「わかりました……」

「エルバ様、ボクの後ろをついて来てください」


「うん」


 サタ様の攻撃は魔法と爪、アール君は牙と爪。

 私は武器は取り敢えず、ダマスカスナイフをマジックバッグから取り出した。一瞬サタ様がそのナイフをつかうのかぁ? と見てきたけど。元々、私のナイフだから気にしない。


 ローボを探して森を歩く、見たことがない草を見つけ気になるけど……サタ様と討伐クエストが終わるまで、我慢すると約束していた。


「エルバ、アール3匹のローボだ! 気を引き締めろ!」


「「はい」」


 2人には一瞬で倒せる相手だ……しかし、サタ様が先をゆき、声を出して連携をとるのは。討伐が初めての私がいるからだ。


「エルバ。ローボの攻撃は鋭い爪でのひっかき攻撃と、長い牙での噛みつき攻撃だ。手を振りあげたら爪、口を大きく開けたら噛みつきだ。その動きを見たら、まずは後ろに下がれ」


「エルバ様、瀕死のとき体当たり攻撃もありますので、お気を付けてください」


「はい!」


 説明を受けローボの動きを見る前に、サタ様とアール君がローボを軽々倒してしまう。そして彼らにとって、ローボは準備運動にもならないみたい。


「倒したローボの両耳はギルドに提出で、牙と爪、毛皮は素材に使え。ローボの肉は少し硬いが食べれる。そのダマスカスのナイフを貸してくれ」


 頷きナイフを渡すと、サタ様がサクサクとローボを解体しはじめる。使えない内蔵系は火の魔法でアール君が燃やし、解体した素材と肉はサタ様、自分のアイテムボックスにしまった。


 その後ろでガサっと茂みが揺れ、1匹のローボが私を襲う。しかし、ナイフをサタ様に貸していて素手の私。


「わっ⁉︎」


「エルバ!」

「エルバ様」


 サタ様とアール君はローボの接近に気付いていて、瞬時に動いたが――その彼らよりも早く、バレーボールくらいの何かが回転しながら飛んできて、私を襲おうとしたローボに体当たりした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る