第108話
どうしてFランクの私が、カルア草が毒草だと知っていたかと聞かれて、師匠に教えてもらったと伝えた。本当は博士だけど、面倒ごとは避けたいから――師匠と答えた。
「そうか、お前さんの師匠さんは凄いな。しっかり習うんだぞ」
ギルドマスターは私の頭を、人撫でして戻っていった。受け付けのお姉さんは最後まで、ツンツンしていたけど、どうでもいいかな。私達は解放されて冒険者ギルドの、応接間を後にした。
〈うむ。いくら試験だからといって、人はズルいやり方をする〉
〈そうですね。ちょっとくらい痛い目に合って、体に覚えさせればいい〉
〈ちょっと、そんな事をしたら……普通の人は再起不能だよ〉
いつになくご機嫌斜めな2人。理由はなんとなくわかる、受け付けのお姉さんのツンツン態度かな? だと、思ったのだけど違っていた。
〈あのギルドマスター、ワタシ達の力が本当かを測定器で調べていたぞ。まあ、あんな玩具にワタシ達の力は測定できる、わけはないのだがな〉
〈はい。まれにランクを誤魔化す輩がいるのですかね?〉
〈でもそれって、低いランクの者が高く言うんじゃないの? すぐにバレるともうけど〉
〈なぜか分からんが……鑑定スキルも使っていた〉
〈〈えっ⁉︎〉〉
これで3人の意見は一致した。
2度と王都の冒険者ギルドには行かないと決まった。
マサンか、他のギルドで、クエストを受けた方がいいとなった。
❀
「強いかと思ったが……違った」
王都の冒険者ギルドマスターは執務室に戻り、報告書を書いていた。S級の冒険者しか受けれないクエスト、大型魔物コーブラ、アウドラムが消えた日――チリの森でのクエストを受けた、冒険者の事をギルドマスターは調べていた。
「調べたが。S級の冒険者がクエストを受ける前。あの3人しかチリの森でクエストをしていない……カルア草を毒草だと見破ったから。あの3人が、S級のコーブラとアウドラムを倒したのかと思ったが……違う様だな」
伝えず、3人を鑑定したが……測定器と数値、スキルが変わらなかった。駆け出しの冒険者だと結果が出た。
上手く化けて、Fランクの冒険者になっている彼らを。
誰も元魔王と、側近、魔王の部下四天王の娘だとは気付くまい。
「サタとアールはクエスト受けたの?」
「ああ、カサロの森でローボ(オオカミ)10匹の討伐かな」
「Fランクのクエストそれだけでした」
「じゃ、お昼を王都の商店街で買ってから、カサロの森に行こう!」
珍しく作るとは言わないエルバに不思議に思ったが、彼女が向かった店を見て、サタとアールは頷いた。
「サタ様、アール君、見て見て分厚いお肉! このシフォンケーキ美味しそうだよ。もうアンコのお団子が!」
エルバが選んだ店は王都にある、鬼人さん達の店だった。
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