第106話

 冒険者ギルドの受付に向かった。王都の冒険者ギルドの受付けは討伐クエストと、採取クエストに分かれていた。


「こんにちは、このクエストを受けたいのですが」

「はい。こんにちは、初めにギルドカードを出してください」


「分かりました」


 受付けのお姉さんにギルドカードを見せて、Fランクで開けれる、コロ草の採取クエストを出した。そしてカルア草のクエストを出すと、受付のお姉さんは困った表情をした。


(この子、自分のランク以上のクエストを持って来たと、思ったのだろうな)


 分かっている、カルア草の採取クエストはAランクしか受けれないクエスト。しかし、カルア草は毒草だ。ギルドスタッフたちが毒草だと分かっていて、クエストを貼っているなら、ごめんなさいと謝ればいい。


 もし、間違えてクエストを張ってしまっているのなら……伝えなくてはならない。毒草は触るだけでかぶれたり、毒が手に付き……もし、間違えて口に入ってしまったら、解毒薬が必要になる。


 私のように毒耐性がないと。

 一歩間違えれば、命が危なくなる。


 まあ、Aランクといったら、高いランクだから知っているだろうし、採取の仕方と解毒薬は持っていると思う。


 一応、心配で聞いてみる事にした。


「すみません、このクエストはAランクの冒険者しか、受けれないクエストです」


「はい、分かっています。このカルア草が毒草だと、知っているのか聞きたかったんです」


「え? カルア草が毒草ですか? すみません、調べさせていただきます」


 お姉さんはクエストの紙を持って、慌てて奥に入って行った。まさかね……知らずにクエストを張っていたのかな?


《エルバ様》


 博士?

 どうしたの?

 

《エルバ様はまだ発見していませんが。カルミア草という、カルア草に似ている、白い花を咲かせる薬草があります。効能は今は伝えることはできませんが、毒草ではありません》


 カルミア草? カルア草に似た薬草があるんだ。

 教えてくれてありがとう、博士。


 博士が似てるって言っていたし。

 カルミア草と間違えたのかな?


「冒険者の方、すみません」


 お姉さんがこちらに走ってくる。その様子にサタ様とアール君が、何かあったのかとやって来た。その2人に説明すると、そうかと……ため息をついた。


「分かったのですか?」


「はい、カルア草の採取クエストは――特殊指定の採取クエスト……普通の掲示板に貼れる、クエストではありませんでした」


 特殊指定クエスト?

 毒草だからかな?


「それとですね。どうして、Fランクのあなたが知っていたのか聞きたいので、奥の応接間に来ていただけませんか?」


 え、奥の応接間?

 私はサタ様とアール君を交互に見た。


「あ、お連れの方もご一緒でいいので、とにかく来てください」


 はい。と頷いてみんなで向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る