第102話

 夕方ごろ魔法都市から――サタ様とアール君と一緒に、いつもの原っぱに戻ってきた。明日、マサンの街に行くか。別のギルドのある街に行くか、パンケーキを食べながら話し合っている。


「うむ。フワフワなパンケーキにバターと、蜂蜜のハーモニーがいいな」

「フワフワなパンケーキが、更に美味しくなりました」

「ウンウン、美味しい」


 1度、バターの味を覚えたら……前のハチミツかけパンケーキでは物足りなくなる。だけど、この手作りバターさえあれば料理の幅が増えるだろう。オムライス、チキンライス、クリームシチュー、オムレツ……言い出したらキリがない。


 チーズも同じかな。


 ピザ、チーズパスタ、チーズインハンバーグ。

 パスタの麺から作って、濃厚カルボナーラが食べたいかも。


 先にパンケーキを食べ終えたサタ様は。


「エルバ、明日はいつものマサンではなく。王都に行ってキバナの木の精霊――キキの様子を見にいくか?」

「キキ? そうだね。明日、解毒薬を持って会いに行こう!」

「いいですね。あの女性が、何かしているかもしれませんし」


 みんなの意見がそろった。

 サタ様とアール君も心配なんだ……あの女性、アマリアさんが、キキに悪さをしているかもしれないと。後片付けを終えて、テントの中にフカフカなベッドと、お肌ツルツル、バラの露天風呂を想像した。


「よし、いいよ。先にお風呂どうぞ」


「では、お風呂に入ってくる」

「エルバ様、お先です」

「今日のお風呂はバラのお風呂にしたから、香りがいいよ、ごゆっくり」


 2人がお風呂にいったの見て、私はベッドの上でエルバの畑と調合室を開いた。前に解毒薬を作ったとき何回も調合を繰り返した……今回も繰り返すだろう。


「前よりは、調合のレベルが上がったから大丈夫!」


 サタ様とアール君がお風呂から上がってくるまで、調合壷を振り続けて焦げ玉49個を作り、50回目でようやく解毒薬が一つ完成した。


「ウハッ、今回も疲れたぁ~」


 ベッドに、ボフッと倒れると。

 調合博士の声が聞こえた。


《エルバ様の調合レベル21になりました~おめでとうございます~》


 おお、調合レベルが上がった。

 博士、またよろしくね。


 


 フウッ、解毒薬を作るのに50回の壺振りかぁ。

 魔力切れを起こさなかっただけでも、よかったかも。


 これで、キキさんの毒を解毒できる。


「どうした? エルバ、魔力切れか?」

「大丈夫ですか? エルバ様」


 お風呂上がり、2人はバラの香りをさせながら駆け寄ってきた。


「うん、大丈夫。キキさんの解毒薬も出来たよ」

「そうか、お疲れさま。エルバも風呂に入ってこい。バラの香りに癒される」

「はい、いい香りでした」


 じゃ、私もお風呂に入ってこよっと……ベッドから起き上がると。……お約束ごとくベタベタで、バラの花道を作り、バラまみれの2人がいた……いい、バラの香りだけど。


 なぜ?


「毎度毎度ながら、君達は……お風呂で拭いてこないの⁉︎」

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