第87話
サタ様はお乳まみれの私を笑った。
だったら、サタ様も絞ってみなさいよと、マジックバックからお鍋を取り出して、彼の前に差し出した。
そんな、私から鍋を受け取ったサタ様はフッと笑い。
「乳搾りか、懐かしいな。アウドラムのママさん、失礼する」
[うんまぁ~! サタナス様に縛ってもらえるなんて幸せですぅ~]
ママさんは少女の様に頬を赤らめて嬉しそうだ。
だが! サタ様も私のように乳搾りで失敗して、ママさんのお乳まみれにな~れ。
私の邪心な思惑を読んだのか。
「なんだ、エルバはワタシを乳まみれにしたいのか? フフ、エルバの思惑通りにはいかんよ」
と、フッと笑った。
「へえ?」
乳搾りのため執事姿になったアール君とは違い、もこ鳥の姿のまま、サタ様は可憐に乳搾りをはじめた。その姿の側にいつのまにか猫の姿に戻ったアール君がいて、サタ様を褒めている。
「悔しいですが、僕は猫のままでお乳は搾れない! さすがです、サタ様!」
「アール、あたりまえだ!」
な、なんとサタ様はママさんのお乳を一滴も無駄にせず、お鍋いっぱいに搾った。側で、驚く私の手からコップからを奪い、残りのミルクを飲み干したのだ。
「あ、私のお乳!」
「ククッ、呆けているエルバが悪い。アウドラムのママさんの乳は相変わらず美味いな」
[んまぁ、ありがとうございますぅ~あなた、サタナス様にお乳を喜んでもらえたわ~]
[良かったな、子供達もお前の乳で元気いっぱいだ!]
[[母ちゃんのお乳は最高!]]
なんでだろう?
サタ様は可愛いモコ鳥なのに、カッコいい。
たくさんお乳を貰ったお礼にと、アウドラムのパパさん、ママさん子供達に。エルバの畑からエダマメマメ、トーモロコシを、これでもかとたくさん採取して食べてもらっている。
[[美味い!!]]
「欲しかったら言ってください」
[ありがとう、おかわりをお願いします]
「ええ! もう食べたの?」
モリモリ、バクバク喜んでエダマメマメとトーモロコシを食べる、アウドラム家族の姿を見ながら。サタ様に風魔法で乾かしてもらい、アール君にクリーンの魔法をかけてもらった。
――お乳って栄養が高いから雑菌が発生しやすくて、乾くと臭くなるんだよね。アウドラムのママさんのお乳はさらに栄養が高そうだもの。
「私達もお昼ご飯にしよう!」
アイテムボックスからテーブル、コンロをから取り出して、コーブラのお肉を焼きはじめる。分厚く切るのかと思った、コーブラのお肉はタンのように薄く切ってあった。
「エルバ、塩コショウとレンモンをくれ」
「わかった」
畑を開きレンモンを採取して渡すと、豪快に焼き上がったお肉にかけた。
「さぁ、食べてみてくれ」
「「いただきまーす!!」」
初めてのコーブラ……蛇のお肉。美味しそうだけど、頭を見てしまったので少し躊躇した。隣のアール君は「レンモンで、サッパリと食べれます」美味しいと食べている。
(私が迷っている間に食べてしまいそう)
なくなる前に、一切れ恐る恐る口に運んだ。
「う、ううん⁉︎ コーブラのお肉って鳥の胸肉に似てる︎? 臭みがなくて美味しい!」
「そうであろう」
鶏胸肉に似た身は塩コショウとレンモンが合う、これはコメではなくパンが欲しくなる。パンにマヨネーズをぬってコーブラのお肉と、レタススを挟めば高級なサンドイッチになる!
それに、これだけコーブラのお肉がしっかりしていたら、サラダチキンならぬ、サラダコーブラも作れる。
「やっぱり、パンが欲しいかな?」
「そうだな、コメよりパンに挟みたいなぁ」
「マサンの冒険者ギルドにクエストの報告に行ったついでに、パン屋に寄りましょう!」
「うん、寄ろう!」
アウドラムも含め、私達の食欲は今日もおさまらない!
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