第88話

 サタ様が捌いた、コーブラのお肉の塊を3人でペロッと食べた。アウドラム家族もエダマメマメ、トーモロコシをガッツリ食べてくれた。


[[ごちそうさまでした]]


「食べたぁ~、ごちそうさま」

「久しぶりにうまかったな、ご馳走さま」

「お腹いっぱいです、ごちそうさまでした」


 私は使用した道具を洗い物カゴにしまい、テーブルと共にアイテムボックスの中にしまった。時刻は昼過ぎで、冒険者ギルドにクエストの報告に行こうとなった。


 アウドラム家族がいるのでホウキでの移動ではなく、いつもの原っぱへとサタ様の転移魔法で転移して、サタ様はアウドラム家族に姿消しの魔法をかけた。


「よし、この原っぱで堂々と眠っていても、他の者にバレない」


[サタナス様、ありがとうございます]


「うむ。ワタシ達は冒険者ギルドに行ってくる」

「ホウキで行く?」


「そうだな」


 私達はホウキに乗りマサンの街に移動して、冒険者ギルドに移動した。


 



 おや、いつもは静かな冒険者ギルドがなにやら騒がしい。

 受け付けに冒険者達が大勢集まって、何やら話している。ソッと近付きサタ様、アール君と話を聞いていると「アウドラムが」と「コーブラ」何とか話しているみたいだ。


 チリの森にいたS級魔物のアウドラムと、これまたS級のコーブラが姿を消したと、話しているではありませんか!


「今日、アウドラムの討伐クエストを受けて、討伐するはずだったんだ! どうなっているんだ!」


「こっちはコーブラ討伐だ!」


 受付嬢に声をあげて確認している、彼らはどうやらS級以上のパーティー達のようだ。彼らの話を近くで盗み聞いた。この2パーティーは手を組み、チリ森の北の主アウドラムと西に住むコーブラを戦わせて、弱ったところを叩く計画を立ていたみたい。


 チリの森の奥で、アウドラムとコーブラが計画通り鉢合わせて、魔物が戦う所までしか覚えていないと言っている。気付いたらアウドラムもコーブラも消えていた……奴らの北と西の寝床に行ってもいない、忽然(こつぜん)とチリの森から消えたと彼らは話している。


 私は声に出さず、念話で隣にいる2人に話しかけた。


〈ねぇ、サタ様とアール君がやったんだよね〉


〈あぁ、ワタシがそいつらを眠らせ、アールと一緒にコーブラを倒した〉


〈はい、よい戦いでした〉


 サタ様とアール君によって敗れたコーブラは綺麗に捌かれて、その一部のアニクは私達のお腹の中で。アウドラム家族は今、原っぱで気持ちよくお昼寝中だろう。


〈コーブラとアウドラムを鉢合わせして戦わせ、弱らせてから戦おうとは片腹痛い! S級の冒険者ならそんな事をせず堂々と戦え!〉


〈そうです!〉


 何やら熱い2人。

 本来なら、2パーティーが集まり総勢16名でアウドラム、コーブラと戦うはずだったS級の冒険者たち。

 チリの森に住むコーブラとアウドラムを倒して、多額の報酬が入るはずが、当てが外れて騒いでいるのだろう。とサタ様は言った。


〈アウドラム家族はワタシがもう保護したし、コーブラは倒したぞ。騒いでも2度と現れるまい〉


 私達は騒ぐ彼らを横目に今朝受けたクエストを報告した。私はキリ草十束の報酬、銅貨3枚。サタ様とアール君はスライム十匹とゴブリン三体の報酬、銅貨6枚ずつ貰って原っぱに戻った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る