第17話

 博士の絵が可愛い。このままレシピが増えると、エルバの可愛いレシピ帳ができる。そうだ――明日はアール君とエルバの畑でコメ草を収穫してコメを炊こう。


 ――レシピ帳にどんな風に載るのか楽しみ。



 次の日。レシピ帳にコメの炊き方が載った……採取の仕方から炊き方まで、博士が描いた、可愛い妖精が分かりやすく説明してくれていた。


 博士にコメ1合(180ml)に対し、水は200ml、2合は400ml、3合は600ml。コメは水で研がなくても、水に浸さなくても良く。炊いた後は水分が飛びやすい――と書いてもらった。


 もう一つの植物図鑑はどうなっているの? と開いたみた。コチラは薬草の絵と博士が説明してくれた事が、事細かに書いてあった。

 植物図鑑は薬草の絵が、細部まで細かく描いてあって見やすいし。採取した場所とエルバの畑のどこに植えたかも図鑑に書いてあった。


 博士、有能。




 エルブ原っぱ解禁まで――アール君と書庫でいろいろな本を読み。シュワシュワをつくり、コメを炊いて、料理レベルが5まだあがった。


 


 ――ついに、エルブ原っぱ解禁の日。

 私は朝からコメを炊きおむすびにして、シュワシュワをつくり、オヤツにリリンゴをマジックバッグに入れて――早く行こうと興奮していた。


「アール君、準備は終わった? 早く、エルプ原っぱに行こう!」

 

「はい、エルバ様」


「ママ、いってきます!」

「ママ様、エルブ原っぱに行ってきます」


 2人でキッチンにいるママに、玄関から声をかけた。


「いってらっしゃい、エルバ、アール君。気をつけて行くのよ」


「はーい」

「行ってまいります」


 


 アール君と10分歩き、外壁近くのエルブ原っぱについた。


 私は久しぶりの原っぱを見回して――ニンマリ。


「今日は、どの辺を見ようかな?」

「エルバ様、パパ様、ママ様から頼まれていますので。毒草、麻痺草を食べではダメですよ」


「え? ……わかった。食べずに……エルバの畑に植えるだけにする……」


 ――ちょっと、味見してみたいけど。


「はい、ガッカリしないでください。また、ママ様に禁止にされますよ」


「禁止? それは困る……」

「でしたら、食べないようにしてください」


「はーい」

 


 今日は原っぱの東の奥を見ることのした。

 マジックバッグを漁り、敷物(レジャーシート)を取り出していつもの様に"ゴロン"と寝転ぶと、アール君も私の横に座った。


「アール君、ママに借りた薬草図鑑みよう!」

「見ましょう」


 原っぱでアール君が暇にならないように、ママに薬草図鑑を借りてきた。これを一緒に見ながら――博士に聞く。 

 そうすればアール君も楽しいかなって思ったんだ。


 近くにギザギザの葉が特徴な、三枚葉の薬草が生えていた。


「あの薬草なんだろう?」

「エルバ様、調べましょう!」


 2人で図鑑を見ながら――博士、あの薬草は何?


《あれはキリ草といいます》


 効能は?


《すり潰したキリ草を魔法水と混ぜ合わせれば、傷薬になります》


 ――傷薬か。タネは後でもいい?


《かしこまりました》


「エルバ様。図鑑の、ここに載っています」

「ほんとうだ、ギザギザの葉が特徴だって」


 2人で図鑑で確かめた。


「エルバ様、あの薬草はなんでしょう?」

「なんだろう?」


 と、腹痛の薬になるモニニ草。

 頭痛薬になるズキン草……


 煎じたり、魔法水と混ぜる、そのままかじると薬になる薬草ばかりで。私が気になる"紫の葉っぱ"とか"黄色の葉っぱ"は通り過ぎて行く。

 博士に聞いてドロ草という毒草と、ジリリ草という麻痺草だとわかったけど。

 

 ――まさかね。アール君……君はわかっていてやってない?


 ちょうど、足元に見つけた木の実を聞いてみた。


「アール君、この紫の実は?」

「エルバ様、それは毒のある木の実です。素手で触ってはなりません……あっ!」


 とうとう……ボロをだしたね。


「アール君、さっきから毒草、麻痺草を上手くかわして、薬草ばかり誘導したね――フフ、フフフ。凄い、アール君って物知り!」


「えっ、怒らないのですか?」

「なんで? 怒るよりも驚いちゃった」


 博士は元々凄いけど。

 アール君、凄い。


「私ね、薬になる薬草が知れて嬉しい! 自分1人だと、こんな短時間でたくさん見つけれないよ!」


「えへへ……そうですか、よかった。……エルバ様、そろそろお昼にしませんか?」


「いいね、お昼にしよう!」


 昼食後もアール君と一緒に、エルブの原っぱを探索したのだった。


 ――ちゃんと、後でタネはエルバの畑に植えたよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る