第43話 未来に羽ばたく道のり

正直。

潤の事は嫌いだったと思う。

何か分からないけど.....感情?的にかもしれないが本当に何かが嫌だった。

俺は本当に子供だな、って思う。


だけど彼は彼なりに強い確実な思いが有る。

それを知って俺は潤を嫌いじゃなく見れたのだ。

俺は思いながら潤と話してから真帆と一緒に店の外に出る。


潤の父親と潤が見送ってくれた。

それから潤が俺に向いてくる。

真帆を頼みます、という感じで、だ。

俺は潤に真っ直ぐ向く。


「潤。今日は有難う」


「僕の話を聞いてくれたりして有難う」


「俺さ。お前に出会えて良かった。潤。有難う。お前に出会えてまた成長した気がする」


「僕はただ話をしただけだよ。君達が凄いんだ。君達は.....本当に僕の生きる希望だと思う。絶望の中で見つけた最後の光かな。僕も頑張ろうと思う」


「そうか。有難うな。そう言ってくれて。本当に有難い事だと思う。感謝しか無い」


長野くん。私は君の生きる事をずっと応援しているから。貴方は私に全てを教えてくれたから。だから生きてね、と言う真帆を見る。真帆は涙を浮かべながら涙を流し始めた。


そんな手を潤が握る。

それから、真帆。泣かないで、と言う。

これは運命なんだ、とも。


「僕達はきっと何かの運命だったんだ。そして君が翼に出会ったのも運命なんだ。それを考えると少しだけ僕も気楽だよ」


まあ勿論、君と別れたのが本当に悲しいってのは事実だからね、と話す潤。

俺はその姿を見ながら眉を顰める。


そして潤を見ていると。

潤が、翼。君に全てを託したい。だから真帆が悲しんでいる時も常にそばに居てあげてほしい。これは僕からの願いだ、と潤は笑みを浮かべる。

俺はそんな潤の姿を見ながら、約束だ、と握手した。

すると潤の親父さんが俺に向いてくる。


「君達は本当に優しい子達だね。潤も喜ばしいと思っているだろう。こうやって優しい子達に囲まれてな」


「優しいんじゃ無いです。彼だからこそ優しいと思える、信じる人間でありたいと思えるんです」


「それは謙遜だ。でも有難い。そう言ってもらえてな」


「今日は有難う御座いました。長野さんもそうだけど潤くんも」


「気を付けて。僕は今から少しだけ用事があるから。楽しんで」


「ああ。有難うな。潤。楽しませてもらうよ」


そして俺達は、また来てくれたまえ、と言う長野さんと別れた。

潤とも挨拶をして、だ。

真帆がまた涙を浮かべる。

それから涙を拭った。


「私は長野くんの幸せを心から願えるかな。私は仮にも長野くんを捨てたような気がして。ずっとずっと好きだったから」


「その言い方はマズイだろ。捨てたんじゃないよ。真帆達はしっかり話し合った結果こうなったんだから。俺も何だか思う所があるしな。だからそう言う考えは駄目だろ」


「そうかな。でも翼くんが言うなら間違いはないかな。私は、うん」


「俺はお前に会えてよかったと思う。どんな形であってもこういう感じで。俺は幸せだ。今日は有難うな。真帆。一緒で良かった」


「そうだね。今日は良かった。一生の宝物になったと思う」


「そうか。うん。確かにな」


「翼くんはどうだったかな。良かったかな。本当に」


こうやって会えて真帆の昔話を聞かせてもらって幸せだよ、と俺は回答する。

それから俺は真帆を見てから笑みを浮かべる。

そして俺は真帆の肩を寄り添わせる。

俺の肩に、だ。

そうしてから真帆を見る。


「真帆。お前の事絶対に離したりしないからな。愛している」


「うん。当然だけど私も愛してる。貴方の事。来世でも会おうね」


そう言いながら真帆は笑顔になる。

俺はその姿を見ながら、次何処に行く?、と聞いてみると。

真帆は、じゃあ次は観覧車に乗ろうか、と言ってくる。

この街の海を見る為の名物の観覧車の事だろう。

俺はその姿を見ながら、じゃあ行こうか、と言いながら真帆の手を引く。

それはまるでシンデレラの様に。


「俺としては」


「何?」


「潤に言われた通り楽しむ事がアイツの支えになると思う。だからしっかり支えになろう。2人でな」


「まだ恐れがあるけどね。いつか長野くんも誘ってこの場に来れたら良いな」


「そうだな。それは思う。俺も強く強くな」


俺達はそんな会話をしながら観覧車のチケット売り場に向かう。

それから観覧車のチケットを購入しながら。

真帆に手渡す。

すると真帆は、私の料金払った方が良いよね、とお金を出そうとする。

俺はそれを止めた。


「良いんじゃないか。俺が出す」


「え?何で?翼くん」


「こういうのは男性が負担するものだ。だから気にするな」


「そうかなぁ。じゃあ今度私が奢るから。見栄っ張りしなくても良いからね。奢らせて」


「まあそう言うなら」


そして俺達はそのままチケットを購入後並んでからゴンドラに乗り込む。

そうしてから周りを見渡すと小さな街の景色が広がっていた。

すると真帆が呟いた。

私達ってやっぱりちっぽけだね、と。


「でもその中でも私達は大きなものを見つけたよね。翼くん」


「だな。俺としてはこれは大きな事だと思うな。真帆。ちっぽけじゃないんだ」


「うん。出会いがいっぱいで。そして再会もいっぱいで。守られて。とっても君に出会ってから幸せだね」


いや小っ恥ずかしいんだが、と呟きながら俺は外を見る。

赤くなっていた。

窓ガラスに映っている俺の顔が。

全く真帆め。


「写真撮らない?」


「ああ。そうだな。それも良いかもな」


「じゃあ撮るよ。寄って寄って」


「はいはい」


そして俺は真帆に寄ると頬にキスをされた。

それから写真が撮られる。

油断も隙もありゃしないな!?


俺は慌てながらの。

真帆は満面の笑みの。

そんな写真が撮れてしまった。

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