第37話 ルナを連れ戻し

結論から言って.....カノンさんと水亀がお付き合いする事になった。

俺達はその事に笑みを浮かべながら。

球技大会は幕を下ろした。

色々あったが.....まあこれで良かったんじゃないだろうか。

考えながら俺は家で過ごしていた。


「お兄ちゃん。あまりダラダラし過ぎると頭がバカになるよ?」


「勘弁してくれ。球技大会で頭脳を使い過ぎているんだよ」


「もー。飲み会に行ったサラリーマンじゃないんだから」


俺はマジにダラダラしていた。

そこに花梨がツッコミを入れてくる。

盛大に溜息を吐きながら俺はまたダラダラする。

今日は先生達は会議だ。

その為に.....学校が休みになった。


「羨ましいですね。青春している様で」


「.....まあな」


ルナがその様に言ってくる。

俺は起き上がりながら、ルナは大丈夫か、と聞く。

するとルナは、はい。お陰様ですが.....、と柔和になる。

そうか、と返事しながら俺はルナを見る。


「でも.....こうしていて良いのかな、って思う事があります」


「それはつまり.....今の状況か?」


「そうですね。.....学校に行ってないですから」


「まあ.....大丈夫だろ。行けないもんは行けないんだから」


そんな会話をしていると。

インターフォンが鳴る。

それから俺達はインターフォンを覗くと.....マネージャーが立っていた。

つまりコイツらのマネージャーだが.....また来たのかこの女。


「はい」


『すいません。緑陽ルナさんを引き取りに参りました』


「帰って下さい。.....ルナさんは帰りたくないって言ってますんで」


『.....そうですか。.....我々としてはお話がしたいのですが』


「.....ハァ.....」


俺はかったるく思いながら玄関を開ける。

するとマネージャーが厳しい顔で立っていた。

ルナは居ますか、と聞いてくる。

俺も厳しい顔で返した。


「居るが。.....でも帰りたくないって言っているから」


「それは貴方が決める事ではありませんので」


「.....アンタら異常だと思わないのか。嫌って言っている女の子を無理に連れて帰るのが」


「ですが我々としても今の状況は異常かと思います。アイドルを匿うなど」


「.....まあそうだが.....」


すると背後から、翼さん、と声がした。

そしてルナが顔を見せる。

ルナは、お父さんと話をしてみたいです、と言葉を発した。

俺は!?と思いながらルナを見る。

ルナは真剣な顔だった。


「.....どうせどう話しても貴方がたは私を連れて行きますよね。ちょうど良い機会ですし.....お父さんと話します」


「そうですか。.....分かりました」


「.....」


俺は顎に手を添える。

そしてマネージャーに向く。

それから、マネージャーさん。俺も連れて行け、と告げた。

マネージャーは?を浮かべて俺を見てくる。

そんな事は出来ませんが、と言いながら。


「これは交換条件だ。.....ルナは俺も連れて行かないと渡さない」


「.....貴方.....」


「つ、翼さん?何の為に?」


「お前が帰った所で暴力振るわれる可能性があるんだろ。じゃあこのままはいどうぞって渡せるかよ」


ルナはビックリしながらも、優しいですね、と苦笑する。

それからマネージャーを見る。

マネージャー。私も翼さんを連れて行かなければ行きません、と答える。

するとマネージャーは、分かりました。そこまで言うなら今回だけ特別にお話ししておきますが。.....調子に乗らないで下さい、と言ってくる。

嫌味な感じだ。


「.....お兄ちゃん。大丈夫?」


「死ぬ訳じゃないから。......大丈夫だ。一つだけでも文句を言ってやりたいしな」


「.....翼さん。有難う御座います」


それから俺達はそのまま事務所に向かう事になった。

家に花梨を置いて、だが。

そして車に乗って事務所に向かい。

そのまま入り口に入った。



「君は誰かな」


オールバックの頭のスーツ姿の男が机に居た。

まさに何というかあまり話が通用しなさそうな感じの男。

俺はソイツを見据えているとマネージャーを威嚇する様に男が見た。

そして、どういう事かな。ルナだけ迎えに行って来いとは言ったが、とマネージャーを見る。


「.....申し訳ありません」


「まあ良いが。.....もしかして君は真帆の愛人かな。何をしに来たのかね」


「.....俺としては話があって来ました」


「何の話かね。金か?それとも真帆の権利か?」


「違います。.....ルナを貴方の元から解放してやって下さい」


「まさかだな。.....それは家族間の問題だ。何を言っているのかね」


ピクッと眉が動く。

俺は盛大に溜息を吐いてから、ルナに.....貴方はやり過ぎですよ。教育で.....何か暴力を振るっているらしいですけど、と切り出した。

緑陽大輔は、そんな事知った事ではない。そもそも君は私たちにとっては部外者なのだが、と話す。


「まあ確かに部外者ではあります。.....でも俺は.....真帆の友人を見捨てられない。仲間を見捨てられないんで」


「.....この世の中が全て上手く君の様に回ると思う事がおかしい。.....君は何様かな?」


「ルナの気持ちを考えてやって下さい」


「.....」


話にならんな。帰宅させてやれ、とマネージャーに言う緑陽大輔。

コイツ、と思いながら俺が見ていると。

マネージャーが、それは今は出来ません、とまさかの反撃をした。

俺達は!?と思いながらマネージャーを見る。

彼の意見には賛成です、と言いながら。


「恐れ入りますが社長。貴方様のやっている事は教育ではないです。愛の鞭でもないです。.....暴力ですので」


「.....君も何様かね?.....そんな事を言うなら君も辞めるかね?この場所を」


「.....私は.....5人を子供として見ています。貴方の教育は.....暴力で支配しているだけですよね」


今からなら変われると思います社長。

見直してみませんか企画を、とマネージャーは言う。

こんなのは予想外なのだが、と思いながらマネージャーを見る。

すると緑陽大輔は溜息を吐いた。


「.....つまみ出せ。2人とも」


「社長!」


「オイ」


俺は堪らずそう声を掛ける。

気が付けば敬語なんぞ吹っ飛んでいた。

そして緑陽大輔に詰め寄る。

それから机をぶっ叩いた。


「アンタは痛みを抱えてこの場所を創ったんじゃないのか!!!!!」


「.....?.....君は何を言っている」


「アンタがやりたい事があったからこそこの場所を創ったんだろ!こんなチンケな事でぶっ壊してどうすんだよこんなので!みんな離れて行くぞ!!!!!」


「.....」


緑陽大輔は俺を見据えてくる。

それから、確かにこの場所は私が創った。私は壊している認識は無いのだが、と言ってくる。

俺は、良いや。そんな事はないね、と言う。

そしてルナを見る。

現にルナは嫌がっている、と切り出す。


「アンタの娘だろ。自慢の娘だろ。.....良い子なんだよ。.....だから暴力を振るうのは止めろ。そして.....アンタには反省してほしい」


「.....」


「.....アイドルを一人前にしたくてこの場所を創ったんじゃないのか」


「.....」


緑陽大輔は、つまらんな、と立ち上がる。

そして俺達は摘み出された。

マネージャーもそうだが、だ。

それから俺は車に追いやられた。

マネージャーは複雑な顔で俺に向いてくる。

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