第33話 アイナの想い人と.....?

あっという間だが.....その。

球技大会の日になった。

その間.....色々な事があったけど。

大きな事は無いままだ。


「で。富義。結局お前はカノンさんに告白するのか」


「水亀くんと話し合った。大会優勝しない限りは告白はしないと」


「水亀もそうだがお前も良いのかそれで」


「俺は大丈夫だ」


「そうか。なら良いけどな」


「.....お前は親近感が湧いているんだろ?」


そうだな、と言いながら俺は水を飲む。

それから体育館の中で俺達は目下を眺める。

因みに梅雨のせいか今日は大雨でこの体育館の中での球技大会になった。

女子と男子は入れ替わりだ。

その為に今は女子の大会である。


「しかし.....バルンバルンだな」


「.....お前が何が言いたいか直ぐ分かった。変態だな」


「だってそうは思わないか」


「.....まあな」


だけど詳しくは考えたくは無いな。

思いながら俺は真帆の居る方角を見る。

真帆はバレーで活躍していた。


相変わらず何でも出来るのが羨ましいな。

俺は考えながら笑みを浮かべて見ていると休憩中になった。

そして真帆がどうも俺に気がついた様でピースサインをしてくる。

俺はそのピースサインに手を挙げて応える。


「お前ら本当に仲が良いよな」


「.....そうだな。.....アイツしか居ないって決めているから」


「その純愛は大切だな」


「ああ。ずっと大切に思ってる」


俺は考えながら、富義、と言葉を発する。

すると富義は、何だ、と言ってくる。

仮にもだが負けたり.....それか水亀に取られたりしたらどうするんだ。そういうの、と聞いてみる。

すると富義は、その時は諦める、と潔く言った。

その程度の愛なのか、と思ったが。


「俺はカノンさんに迷惑を掛けたく無い。想いだけ伝えれれば良い」


「.....やれやれ。変わらずお前は良い奴だな」


「そうだな。.....制服も変わった。俺達もそうだがカノンさんも時間は無い。卒業まで、だ。だから悔いは残したくはないな」


「確かにな。俺達ももう高2だもんな」


「そうだ。だから告白するものは告白したい」


「.....俺はお前を応援している」


有難う、と言ってくる富義。

そして笑みを浮かべる。

俺はその姿を見ながら.....前を見る。

すると猪熊先生がやって来た。

山口。仕事だ、と言いながら、だ。


「分かりました。先生」


「じゃあな。また後で」


「そうだな。富義。じゃあ」


それから俺達は別れてから.....そのまま大会の仕事に戻る。

その仕事は得点係だったりした。

俺はその仕事をこなし。

それから座っていると.....。


「翼くん」


「真帆?どした?」


「うん。.....その。.....カノンさんに少しだけ聞いてみたの」


「.....何を?」


「今は付き合う意思があるのかな、って。カノンさんは、好きな人が居る、だって」


「.....な.....マジか?」


うん、と言いながら隣に座ってから少しだけ顔を顰める真帆。

じゃあもしかしたら両方共に敗北の可能性もあるって事か。

俺は考えながら居ると。

でも富義の.....事だからな、と思う。


「.....カノンさんは.....色々考えているんだろうな。きっと」


「.....そうだね。きっと考えていると思う」


「こればっかしは成り行きを見守るしかないか」


「そだね」


そうしていると。

暑いね、と言いながら胸元をパタパタした。

その瞬間.....真帆の下着が見える。

俺はボッと赤面してから、お、おう、と返事をする。

すると、えっち、と声がした。


「.....翼くんのえっち」


「.....誤解だ。お前が悪いだろ。今のは」


「まあそうだけど」


「わざとやったか?もしかして」


「.....どっちでしょう?」


クスクスと笑いながら俺を見てくる真帆。

俺はその姿を見ながら盛大に溜息を吐きながら目の前を見る。

すると、姉さん!兄さん!、と声が聞こえた。

俺達は!と思いながら目の前を見る。


「渡ちゃん」


「お二人.....球技委員だったんですね!」


「そうだな。その通りだ」


「私に出来る事があったら言って下さいっす!貴方達のために役に立つっす!」


「.....有難うな。そう言ってくれて。でも今は無いよ」


そんな感じで苦笑いで会話をしていると。

休憩中だと思うタオルを持った苦笑気味のアイナが来る。

それからカノンさんも一緒に。

俺はその姿を見ながら?を浮かべる。


「.....姉さん.....という呼び方なんだね」


「面白いな。私の17歳の筈。同級生なのに年下にその呼び方は非常に興味深い」


そんな感じで会話をしながら向いてくる。

その姿を見ながら俺は、カノンさん、と聞いてみる。

カノンさんは、何だい?、と笑みを浮かべて言ってくる。

俺は、好きな人が居るんですか、と聞く。

するとカノンさんは一瞬だけ目を丸くしてから、ああ、と答えた。


「私が好きな人は今は教える事は出来ないがね。遠い存在だ」


「.....そうなんですね」


「カノンっちって好きな人が居るんだね」


「そうだねぇ。興味深いだろう?」


それから見ていると。

私も好きな人が居るけどなぁ、とアイナが言う。

俺達は目を丸くしてから見る。

すると、そうだなぁ。私は富義くんが好きだけど、と言.....は!?


「.....え!?アイナ!?」


「頭が良さげで.....ね。想っているの。好きだなって。私みたいなバカにも勉強教えてくれるし」


「.....予想外だな。好きな人が居るとは」


「.....アイナさん.....」


俺と渡は見る。

成程な.....困ったなこれは。

相当に捻れているではないか。


困惑しているのは俺だけじゃない。

何というか.....真帆も、だ。

困ったな.....。

富義になんて説明しようか。

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