第32話 カノンへの愛

泉だったら.....この状況はどう出るだろうか。

今の状況もそうだが俺と真帆の委員の位置関係。

つまり大会委員とかに選ばれたら、だ。

俺は.....そんな事を想像しながら外を見ていた。


「という事で今回の大会の委員は山口と進藤だ。お手柔らかに宜しく頼むぞ。みんな」


「「「「「オーイェッス!!!!!」」」」」


「はっはっは活力だけは幸いだ。この勢いで勝とうみんな!!!!!」


「「「「「ヒャッハー!!!!!」」」」」


何だコイツら。

俺はその意気さに呆れながら苦笑する。

すると男子が、よし。この大会であのハーレム野郎を、と言葉を発した。


何かひそひそ声で、であるが。

いや何を企んでんだ。

それもお前。

ハーレムじゃねぇからな?誤解すんな。


「富義。お前も何か言ってくれ」


「.....ふむ。.....よし。ならば言おう」


「.....おう。言ってくれ。一喝だ!」


「おう!!!!!」


みんな!、と言いながら富義は集中する感じでみんなを見る。

そして、俺は.....中島カノンさんが好きだから中島さんに告白する!!!!!、と高らかに宣言してくれt.....はぁ!!!!?

俺は愕然としつつ頬杖が崩れ落ちた。

そして富義を見る。


「と、富義いきなり何を!?」


「何言ってんだオメェ!?」


「マジかよ.....!?」


そんな感じで教室中が大騒ぎになる。

すると富義は、だが!、と区切ってから。

また俺を見てから応援団みたいに声を発する。

俺は.....優勝したら告白する!!!!!、と。


「富義.....」


「俺は優勝しなくては気持ちには応える事は出来ないと思っている!」


だからお前ら.....協力してくれぇ!!!!!、と叫んだ。

俺達は唖然としながらだったがその姿を見る。

すると一人の男子生徒が、それは.....まあやる気になるわ、と言う。

え!!!!?、と思いながら俺はその男子生徒を見る。


「.....俺達はまあ.....そんな出し抜けは困るが.....でも本気の恋は応援したいって思うしな」


「まあクソッタレはクソッタレだけど。.....でも確かに応援はしないとな」


「仮にもクラスメイトだしなぁ」


そんな感じで俺達を苦笑気味に見てくるクラスメイト。

何というか.....まあ俺が小学校時代はどえらく違うもんだな。

俺は笑みを浮かべながらみんなを見る。

それから富義を見る。

富義は、サンキュー.....、と涙声になる。


「お前良かったな。富義」


「.....恵まれているもんだな」


富義は涙を浮かべながらみんなを見る。

すると猪熊先生が、お前ら。良いか?、と聞いてくる。

俺達はハッとしてから猪熊先生に、すいません、と謝る。


それから椅子に腰掛けたのだが。

その際に、ちょっと待った!、と声がした。

俺は?を浮かべてその方向を見る。

そこには男子生徒.....というか。

確か水亀だっけ?


「水亀雄大(みずかめゆうだい)だっけか?」


「そうだな.....あまり目立たない感じだけど.....」


「こんな大声出せるんだな.....」


そんな感じで影が薄い感じの水亀にザワザワになる教室。

それから.....水亀に視線が集まる。

俺はその姿を見ていると。

水亀は立ち上がったまま富義を見据える。


「.....僕も.....好きなんです。.....カノンさんの事!!!!!」


「!!!!!」


「だからこそ負けたくは無いです!!!!!」


オイマジかよ、と顔を見合わせる教室のクラスメイト。

そして女子生徒もザワザワとなる。

驚いている真帆。

猪熊先生も苦笑しながら、お前らなぁ、と言っている。


「そう言うのはホームルームの後だぞ。.....まあおもろいから良いけど」


猪熊先生は溜息を吐きながら富義と水亀を交互に見る。

それからまた溜息を吐いた。

その様子を見てから.....俺は富義を見る。

そして


「どうする富義.....」


「.....まあ負けられないな。.....水亀君には」


「.....」


俺は水亀を見る。

そして顎に手を添えてからそのまま考える。

これからは.....どう応援するべきかな。

そう思う。


「水亀に負けない様にな」


「.....俺は負けないさ。でも.....水亀君」


「.....な、何」


「配慮は大切だから。その点は大切だから」


「うん。それは知ってる」


ほほう?水亀って案外やるじゃん、と男子生徒からも女子生徒からも声がする。

俺はその姿を見ながら水亀を見る。

そしてホームルームが終わってから.....真帆が俺を呼び出した。

それから俺達は屋上に向かう。



「何か衝撃だね」


「.....まあな。水亀が.....あんなに根性があるなんて思ってなかった」


「水亀君って髪の毛が長い子で不思議な人だって思ったけど.....あんなにカノンを大切にする気持ちがあるんだね」


「.....そうだな。確かに」


「.....不思議だなぁ。それを考えると.....運命って」


屋上でそんな事を話しながら俺達は空の彼方を見る。

そして俺に向いてくる真帆。

それから.....何かを取り出した。


それは.....ネックレスの様なものだ。

だけどこの前の様なネックレスでは無い。

何というか.....素人?が造った様な痕跡がある。


「.....これ.....はもしかして真帆が?」


「そうだね。チョコみたいに作ったんだ。これ一応、銀なの。.....でも.....ゴメン。へたっぴだよね」


「.....そんな事無い。すごく嬉しいよ」


「.....他のメンバーにも渡したけど。.....でも翼くんだけは別物だよ。形も違うから」


「そうなんだな」


うん、と言いながら笑顔で俺を見てくる真帆。

そして、じゃあ戻ろうか。これだけ.....渡したかったから、と話す。

俺は、ああ、と返事をしながらネックレスを校則違反にならない程度の場所に掛けてからそのまま戻る。

真帆と手を繋いで、だ。

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