第31話 大会委員

「やあ」


「.....?.....どうしたんですか?カノンさん」


「いや。君にお礼を兼ねてと思ってね」


また平日の事だが。

俺は学校に登校してカノンさんと会った。

カノンさんが俺に会いに来るとは珍しいな、と思いながら下駄箱のドアを閉めてカノンさんを見る。

そう言ってくるが.....どういう意味だ?


「.....ルナを預かってくれているそうじゃないか」


「.....あ。その件ですか」


「ああ。.....彼女は私達にとっては.....家族の子供と同じだからね。それで心配になる訳だ。だけどその中で.....君が居る。この事が嬉しくてね」


「成程です」


そしてカノンさんは、君は本当におせっかいと優しさが入り混じった存在だね、と話してくる。

俺は、んな事は無いです、と言う。

するとカノンさんは、そうかな?、と言いながらクスクスと笑い。

踵を返した。


「すまない。私は運動の部活にも所属していてね。.....もう直ぐ引退だけど」


「.....ああ。そうなんですね。ご無理はなさらない様に」


「ああ。大丈夫だ。御忠告どうも。.....じゃあね」


それからカノン先輩は去って行った。

するとそれを待っていたのか横から真帆が出て来る。

カノンさんも忙しいねぇ、と言いながら。

俺は、まあそうだな、と話す。


「.....お前もここ最近から忙しくなるんじゃないか」


「.....そだね。.....まあそれなりには忙しくなると思う。.....なんたってアイドルが増えるしね。お世話しないと」


「.....結局アイツは.....入る事になったのか?」


「まだ手続き中だよ」


「そうなんだな」


そんな会話をしながら教室まで向かっていると。

富義が、おーい、と声を掛けてきた。

俺は?を浮かべて振り返ると猪熊先生と一緒に富義が居た。


何だ?、と思っていると。

今度スポーツ大会があるよな?そこで.....お前達が大会委員をしてくれないか、と言ってくる猪熊先生。

何言って!?


「これから正式に決めるが.....お似合いだと思うからな」


「.....お似合いで決めるなって.....富義」


「まあそう言うな。頼む。山口。進藤」


「.....うーん.....」


そんな感じで俺は顎に手を添えて悩んでいると。

真帆が目を輝かせて、私はやりたいです、と言う。

そして俺を見てくる。

ね?翼くん、的な頬を朱に染めた感じで。

まあ真帆がやりたいっつーなら.....断る理由は何も見当たらない。


「.....分かりました。やります」


「お。そうか。やってくれるか。有難うな」


「サンキューソーマッチ」


「お前は死んで下さい。お前の案だろこれ」


「ははは。死ねとは冗談がキツイな」


笑いながら俺を見てくる富義。

それから俺に近付いてくる。

そして、まあ良かったじゃないか、と耳打ちされた。


俺は苦笑いで富義を見る。

まあな、と返事した。

すると猪熊先生が、それじゃあ教室に行くか、と言ってくる。


「まあ委員とはいえ気楽にやれ。あまり抱え込んでもしゃーないから」


「有難う御座います」


「何だか気楽になったね。翼くん」


「だな」


そして俺達はそのまま教室に向かう。

それからホームルームが始まってから。

俺は衝撃を受ける羽目になる。


何故かって?

あくまで3年生だが。

渡が転入して来て居たから。  



「姉さん!」


「もー.....姉さんは止めて欲しいんだけど.....」


3年生が2年生に姉さんってw

俺は思いながら渡と真帆を見る。

まさかまたアイドルがこの学校に来るとは。

思いながら2人を屋上でまた見る。


「それから兄さん!」


「.....兄さん!?」


「兄さんは兄さんです!私の恩人っす!」


「いや俺は何もしてないぞ!?」


何で3年生から兄さんと言われなくちゃならないんだ。

俺は苦笑いを浮かべながら渡を見る。

渡は、私は迷惑を掛けましたから、と言ってくる。

それから、私は私自身が変わる目的で貴方を兄さんと呼ばせてもらいます!、と満面の笑顔を浮かべる。


「.....困るんだが.....」


「アハハ.....相変わらずだね。渡菓子ちゃん」


「.....菓子ちゃんってマジか?」


「菓子ちゃんだね。.....菓子の様に甘くという願いで付けられたみたいだけど」


「そうです!」


「あー.....そうなのか」


そんな感じで俺は渡を見る。

渡は頭をゆっくり下げた。

それから、正直ですが障壁はまだあります。でもそんな私を拾ってくれて有難う御座いました.....!、と涙声になる。


「.....渡さん。顔を上げて」


「はい.....?」


「.....私としてはやっぱりチャンスを与えて良かったって思う。彼もそう思っているから。.....これからも宜しくね」


「はい!姉さん!」


「私は年下なんだけど.....」


「年下だろうが姉さんです!嬉しいです!」


こりゃメチャクチャだな。

思いながら俺は苦笑いをまた浮かべながらその姿を見る。

すると渡が俺に向いてくる。

兄さんと姉さんはお似合いのカップルですね、と言ってくる。


「.....まあな。俺の彼女で.....生涯に渡って守り抜くって決めたしな」


「羨ましいです。こういうの」


「.....偶然の出会いの積み重ねだったよ。みんなと出会えたこの奇跡に感謝しかないもんだがな」


俺は言いながら真帆を見る。

真帆は恥ずかしそうにしていたが笑みを浮かべた。

するとそんな顔を見て渡が顔を上げて、これから最悪な状況になる恐れもあるかもしれませんが.....危害を及ばさない様にします、と言ってくる。

俺達は顔を見合わせてから前を見る。


「.....それはどういう意味だ?」


「不死鳥のメンバーとはいざこざが残ったままです。.....だからきっとこのままでは終わらないと思いますので.....一応恐れています」


「.....成程な」


俺達は顔を見合わせながら頷き合う。

それから渡を見た。

渡は、でももうあの人達とは縁を切るつもりなので.....そんな事は起きないとは思いますが.....、と言いながら外を見る。

そうか、と思いながら俺も.....外を見る。

真帆は心配げに渡を見ていた。

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