第26話 ルナとお菓子とアイナの姉と
「翼さん」
「.....?.....どうした?ルナ」
「もっと.....お仕事が出来ればと思います。.....何か手伝う事は無いですか?私がご迷惑をお掛けしたのもあります。だから.....」
リビングで宿題をしているとそう言われた。
俺は驚きながら縮こまっている様なルナを見る。
ルナは真剣な表情だった。
因みに今だが。
順番で花梨は風呂に入っている。
「いや.....いやいや。もう無いよ。こんなに頑張ってくれて.....逆に感謝しかない」
「.....そうですか」
「.....ああ。風呂に後で入ったら良い」
「有難う御座います。翼さん」
そのお礼の後に、翼さん、ともう一度話してきた。
俺は顔を上げてルナを見る。
翼さんの事、そして後.....花梨さんの事ですが心から好きって思っています。
だから.....感謝しか無いです、と言ってくる。
「.....恋愛感情じゃ無いです。.....ただひたすらに尊敬します。貴方には特に」
「尊敬される程か?俺?」
「そうです。私は.....尊敬しています」
それからルナは真っ直ぐに俺を見据えてくる。
好き、と言われて赤くならざるを得ずだ。
俺はその姿を見ながら苦笑した。
コイツはこういう直接な事を言うが本気で応援している。
そんな感じの気配がするから。
「.....ルナ。お前と仲間達と関わって俺は随分と変わった気がする。.....昔より遥かに.....物事を深く考えれる様になった」
「私は.....みんなの考えの邪魔なだけですよ」
「そう言うか?だがお前はムードメーカーだぞ。.....メンバーの中で落ちこぼれ?知った事か。お前の笑顔は本当に.....唯一無二だぞ」
「.....!.....翼さん.....」
俺はそう思う、と笑みを浮かべる。
そして立ち上がってからルナの頭を撫でた。
ルナはビクッとしたが受け入れる。
それから、まあ無理はしない事だ、と言ってみる。
するとルナは、はい、と柔和になる。
「でもそういうの気楽にするのは止めて下さい」
「.....え?何故だ?」
「女の子が本格的に惚れますよ。貴方には真帆が居ますから.....駄目ですって」
「.....そ、そうか」
「無自覚すぎますよ」
ルナは怒った様に言う。
お、おう.....。
そう言われたら無自覚を治さないと、と思う様になる。
俺は考えながらルナを見る。
考えないとな、と思う。
そして俺は苦笑いを浮かべながら頭から手を引っ込めた。
それからルナに、すまない、と謝る。
「でも私は嬉しかったです」
「.....そうか」
「私は幸せ者です。本当に。.....絶望がありながらも.....幸せです」
「そう言ってもらえて光栄だな。.....お前さんの周りが.....幸せになる事を願っ.....じゃないか。俺達が幸せにしてやるから」
「そうですか.....でも本当に無自覚の鈍感ですね。翼さんは」
「.....お、おう」
もー、と言いながらクスクスと笑うルナ。
そうしていると、ルナさんー!、と声がした。
洗面所の方からだが?
俺は?を浮かべながらも。
まあ見に行ってくれるか、とルナに笑みを浮かべて促す。
「何でしょう?」
「まあ何というか。多分だけどアイツ寂しがり屋だから一緒に風呂に入ってくれって感じじゃ無いかな」
「.....え?良いんですかね?」
「良いんじゃないの。女の子ってそういうもんだろ」
「まあ.....真帆とかに誘われたりしますけど.....銭湯とか行く時に」
「.....ああ。じゃあ大丈夫だな。楽しんで来い」
そして真帆の背中を押す。
するとルナは前に一歩を踏み出した。
それから俺を見てくるが。
そのまま行ってしまう。
俺はその姿を見送ってから、ふう、と天井を見上げる。
「.....全くね」
そう思いながら居ると。
またインターフォンが鳴る。
俺は!?と思いながらインターフォンを見ると。
そこには真帆とアイナが。
「おー。どうした?お前ら.....もう夜だぞ」
『えっとね。ルナちんに渡したいものがあってね』
『一緒に食べて欲しいからアイナの家で作ったよ。お菓子だけど』
「.....ああ。成程な」
そして玄関を開けると。
アイナと真帆が紙袋を持って立っていた。
俺はその姿を見ながら、何も今日じゃなくても、と言う。
すると、うん。そう思った。だけどみんなルナが心配だから、と話す。
「.....翼くんにも食べてもらいたいしね。.....花梨ちゃんにも」
「そういう事だ。翼っち」
「やれやれ。.....お前らの絆って最高だよな。マジに」
「.....まあねぇ」
「そうだな」
そしてニコッと見合う2人。
俺はその姿を見ながら柔和になる。
それから俺は、アイナの家で作ったんだっけか?、と聞くと。
アイナは、うん。姉ちゃんと真帆とで作った、と話す。
ん?アイナには姉貴が居るのか?
「お姉ちゃんが居るのか?」
「そうだね。私の姉ちゃんは不死鳥のメンバーだったよ」
「.....!.....それはまた.....」
「存在した5人中の5人目のメンバーだった。姉ちゃんは他の人を蹴落とすのが全然好きじゃ無かったから解散前のかなり前に脱退したけどね。姉ちゃんは今の私を応援している。心から応援している。言って何だけど姉ちゃんの事嫌わないでほしい」
「何も言ってないだろお前。.....でも凄いなそれは」
「私がアイドルになりたいって言った時も心底応援してくれたから」
「へえ。良い姉ちゃんだな」
でしょぉ?えへへ、と言ってくるアイナ。
俺はその姿に苦笑しながら真帆を見る。
真帆はニコニコしながら話を聞いていた。
でも有難うなお前ら、と俺は告げる。
「.....取り敢えず.....元気が無いしルナに思いっきりお菓子を食わせてみるわ」
「ルナ.....元気無い?やっぱり」
「.....そうだな。.....まあそれなりに悩んでいる様に見える」
「.....そうなんだ.....」
アイナは顎に手を添えて考える。
でも1週間.....、と言ってくる真帆。
俺は首を傾げて真帆を見る。
真帆は、もしかしたらこれはルナの心を心から知るチャンスだよ、と話した。
俺は!と思いながら真帆を見る。
「ルナの知らない事も知りたい。隠している事も。.....心からそう思える」
「真帆っち.....」
「.....真帆.....」
真帆は真剣な顔をしながらもやがて柔和になる。
俺は、だな、とアイナを見る。
アイナは、うん、と頷く。
そうか.....確かにな。
ルナの心を知るチャンスかもなこれ。
確かにそう思えた。
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