第20話 俺達の決意

俺達が用意したシャリアピンステーキもどきを美味しい美味しいと言って食べてくれてから。

2人は俺達の用意したお茶を飲みながら俺達を見ていた。

そして柔和な顔になる。


「美味しかったです」


「そう言ってもらえて幸せです!」


「なんか御免なさい。翼くんもそうだけど花梨さんも。ご迷惑をお掛けしましたね」


「全然。寧ろルナの事を心底から知れて良かったよ。色々とな」


「ルナの事もそうだけどみんなの事も有難う。結局5人全員に振舞ってもらっちゃって」


「私は寧ろ幸せです。こんな事になったのが」


そう言ってくれるのが凄く嬉しい、と言う真帆。

それを見なら俺は顎に手を添える。

そして考えていると。

ルナが、私、と声を発した。

そして悲しげな顔をするルナ。


「人を疑う性格をどうにか出来ればなって思うんです。でも上手くいかないです。それは真帆が大切だから。とって大切なんです。だから今日こそは言いに行ってやるって思っていました。最低ですよね。私。会った事もない人を疑いに疑ってそして暴言まで。私はなんて愚かでしょうね」


「それは愚かとは言わないぞ」


「え?」


「ルナ。お前さんはちょっと色々と考え過ぎじゃ無いかな。俺の幼馴染ならそう言う。きっとな」


え?それって幼馴染さんが居らっしゃるんですか?、と聞いてくるルナ。

俺は、まあな。今は天国に居るけど、と答える。

するとルナは悲しげな顔で、あ。すいません、と深刻そうな感じで謝ってくる。

俺は、いや。俺が悪い。今のはな、と答える。


「幼馴染は猛烈な性格が大人だった。それで判断とかも全部大人だった。でもな。全てを見渡すのも得意だったんだ。今の幼馴染だったらきっとだけどこう言うと思う。そんなの人間だから、ってな。だから俺としてはお前は考え過ぎってか当たり前の事を思い詰めすぎだと思う」


翼さん、と言ってくるルナ。

その姿に俺は、俺達はまだ判断の出来ない大人に頼らないといけないクソガキでもあるしお前の場合は環境も何もかもが特殊だ。だから悩む事が多いと思うけど。嫌な事は嫌って言え。嫌じゃなかったら取り組めばいい。そんなもんだ人間ってのは、と笑みを浮かべた。

真帆もルナも驚いた顔をした。


「全く。強引だね。翼くんは変わらずだね」


「ああ。でもまあ変わってんじゃない。俺を変えたんだ。幼馴染がな」


「あはは。でもルナ。翼くんの言う通りだよ。人って文字は頼ってこそ人だったりするしね。苦しい時は周りに打ち明けよう。それからそんな当たり前の事で悩むのは止めた方が良いと思う。絶対に。私達はきっと思春期でもあるから。悩んだりする事もあるけどきっと明るい未来はある筈だから。大切な人を守る防御反応は大切にした方が良いと思う」


「皆さん」


「まあ単純に考えて俺としてはお前に言いたいのはお前の悩みは当たり前の悩みだって事だ。分かるか?ルナ」


「はい。励まされました」


本当に優しい人達ですね、と涙を浮かべるルナは涙を流し始めた。

そっか私悩み過ぎているんだ、と呟きながら。

俺はその姿を見ながら唇を噛んだ。

コイツは緑陽大輔という男の娘。

でもコイツはたった1人で頑張ってきたんだな、とそう思える。

コンビニ弁当だったってのがキーワードだが。


「私は孤独なんですよね。だから何も分からないしどれぐらいの感情かも分からなくなっていたんでしょう」


「親父さんはノータッチなのかお前に」


「そうですね。私は見捨てられた存在なので」


「酷いもんだな」


そんなものですよ。

私の様な存在では、です。

普通は愛情を注がれるんでしょうけど。

私は何も分からないですから、と苦笑するルナ。

俺はまた顎に手を添えてそして告げようとしただが。

その前に花梨が俺の気持ちを代弁するかの様に話した。


「じゃあたまにでも毎日でも良いです。私達の家にご飯食べに来てほしいです」


「え?でもそれじゃ迷惑ですから」


「そんな事ないです。私はいつでも構いません。真帆さんが良ければの話になるかも知れませんが」


すると真帆は直ぐに笑みを浮かべた。

そして全然構わないよ、と言う。

それから俺達を見てきた。

俺はその姿を見る。


「私は全然構わないよ。だってルナだしね。たまにだけど私も手伝いに来る。ルナを任せても良いかな」


「でも真帆それは」


「良いから。確かに女の子が翼くんの側に居たら気になるけど。でも私はルナだからしんじているから」


「みんな優しいね」


涙を浮かべながら号泣するルナ。

その姿を見ながら俺達は笑みを浮かべた。

そして真帆が抱き締める。

俺はその姿を見ながら心から、良かった、と思ってしまった。

こんな結末になるとは予想外だが。


「私少しだけでも恩返しが出来る様に頑張りたいと思います」


「そうですね。まあでも私はそんなの必要無いですけど。ハァハァ」


「いや。お前な」


「だってルナさんだよ?お兄ちゃん。私はハァハァ」


「落ち着けって」


俺は落ち着かせながら花梨を見る。

花梨はニヤニヤしながらルナを見ている。

さながら道化師の様な。

気持ちが悪いんだがオイ。

ルナも真帆も苦笑する。


「あ。そろそろお暇しないとですね」


「そうだね。ルナ」


「帰るのか?」


「うん。帰るよ。今日はね」


玄関に向かってから。

それから俺達は見送る。

2人は頭を下げて俺達を見た。

今日はお世話になりました、と言いながら。


「これから先私は手助けをします。真帆と翼さんの。だから頑張って下さい。恋路を応援しています」


「ああ。有難うな。ルナ」


そして俺達は2人を見送ってから花梨を見る。

花梨は、良い人達で良かった、と笑みを浮かべる。

だけど許せないな、と俺が言うと。


花梨は真剣な顔になって、だね、と頷いた。

俺達が言っているのは緑陽とルナの関係性だ。

結局は金か、と思いながら悲しくなった。

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