第18話 結婚式(模擬)と真帆という存在

弓弦さんもそうだが。

皆さん辛いと思うのに.....こんなに俺達に明るく接してくれている。

この事が幸せとしか思えない。

思いながら俺はジュースを飲む。

今現在、真帆はゲームに没頭している。


そうしていると和歌が話し掛けてきた。

翼お兄ちゃん、と言いながら。

俺は、どうした、と聞くと。

うむ。真帆お姉ちゃんの何処に惚れたのじゃ?、と和歌が聞いてきた。

なっ!?


「お、お前!?」


「ふっふっふ。それは気になっているからね」


「真帆の何処に惚れたか、か.....そうだな。彼女は優しいんだ」


「.....ほう」


「.....それから後は心から信頼出来る」


「ほほう。むず痒くなって参りましたぞ」


「お前が聞いた癖に.....」


俺達はクスクスと笑いながら見合う。

そうしていると花梨からメッセージが入った。

お兄ちゃん。どうかな。楽しんでる?、と。

俺は、ああ。まあな、と返事を書いた。


(良かったね。真帆さん.....悩んでいたから)


(それも心からな。.....アイツにはもう感謝しかない)


(そだね。真帆さん.....良い人だよね)


(俺が惚れた理由が分かる気がする)


(そうねぇ)


そんな感じで会話をしていると。

翼くん。ゲームしないの?、と少しだけ汗だくの真帆が聞いてきた。

俺は、テニスゲームは苦手だ。負けるからな、と答える。

すると真帆は、じゃあフルボッコだ、と言ってくる。


「お前な。苦手って言っているだろ」


「.....ぶー。.....あ。そうだ。じゃあこうしない?負けた方が何でも命令出来る権限。そしたらやる気にならない?」


「.....それは真帆に対して何か作ってくれとか?」


「そうだよー」


「.....それだったらやろうかな」


「傲慢かな?翼お兄ちゃん」


「喧しいわ」


そしてテニスゲームを1対1でやって.....俺が負ける。

惨敗だった。

まあ何というかゲームは苦手だ。

真帆が勝ってしまった。

ニコニコしながら真帆は俺に向いてくる。


「じゃあ私が命令するね」


「.....どうぞ。何を命令するか知らないけど」


「私のお母さんに今度会って下さい」


「.....え?そんなので良いのか?」


俺と和歌は目を丸くする。

そして真帆を目をパチクリしながら見た。

真帆は、うん。それで良いの。私は.....翼くんがお母さんに会ってほしいなって思っているから、と笑顔を浮かべる。

まあなんと健気!、と弓弦さんが言う。


「バレンタインのチョコレートもその時に渡すね」


「.....お前は変わらずだな。本当に」


「バレンタインのチョコ?今なの?」


「ああ。真帆が渡したいって言うから。愛さえあれば良いよね、という感じで」


「へー。.....良いなぁ。ラブラブで」


「そうだね。和歌ちゃん」


真帆はコントローラーを置きながらニコッとする。

俺はその姿を見ながら苦笑した。

そしてジュースの入っていたコップを置く。

それから真帆を見た。


「.....真帆。でもせっかく勝ったんだから.....何か大きな命令をしたらどうかな」


「.....え?大きな命令.....」


「.....そうだな。大きな命令だ。.....例えばデートしてほしいとか」


「.....でも何も思い浮かばないな.....」


そうしていると。

あ、と弓弦さんが声を上げた。

そして、じゃあ結婚式会場で撮影会しないかな?、と聞いてくる。

ほはぁ!!!!?


「お、お母さん。ぶっ飛んでるね」


「私は結婚式場プランナーだから。交渉してみるわ!」


「ちょ!?弓弦さんマジっすか!?」


「マジよぉ。アハハ」


そして、協力して。あなた、と言う弓弦さん。

すると源内さんは、じゃあ私は手配をしよう、と言い出す。

流石は結婚式会場で勤めている.....お2人だが!?

というかマジかよ!?


「こういうのは本格的にやらないとつまらないわ」


「.....し、しかし弓弦さん.....」


流石の真帆も赤面している。

俺はその姿を見ながら赤くなっている頬を隠す様にする。

まさかそんな事になるなんて、と思いながら。

真帆は俺を見ながらますます赤面した。


「当然お2人はキスは出来るわよね?写真撮影したいわ」


「お母さん!?」


「いやちょ!?弓弦さん.....!?」


するとそんな声に、出来ます!、と大きな声を発した。

それは.....真帆だ。

そして俺を見てくる。

翼くん。行こう。どうせ.....結婚式はいつか挙げるしね、と言いながら。

ホァ!?


「しかし俺達はまだ高校生だぞ!?」


「高校生でも大丈夫な様にするわ」


「弓弦さん!?」


「という事で逃げられないね。翼くん」


「.....」


かなりのやる気を見せる真帆。

これは何という事だろうか。

俺は考えながら額に手を添える。

そして苦笑いを浮かべる。

そうしているとそんな幸せを打ち消す様なメッセージが。


(お兄ちゃん。また来たよ。マネージャーさんが)


と花梨から。

それから次に真帆の携帯が鳴る。

俺はメッセージを見ながら、大丈夫か、と真帆に聞く。

真帆は電話を切った。

そして、私には今はもう関係無いしね、と笑顔を浮かべた。


「.....大変だな。お前も」


「.....人を愛するってのは大変だよね.....でも私は翼くんが好きだから」


「.....俺も協力したい。出来るなら」


「うん。有難う。翼くん」


そして取り敢えずだが。

その日はそんな感じで終わった。

それから真帆は仕事に向かう。

そうしてその晩になったのだが.....俺達の元にとある少女が来た。

その少女は怒り混じりにこう言う。


「真帆は二度とこの場所に来ない」


と、であるが。

その少女は俺と真帆より1つ下のメンバーの最後の1人の緑陽ルナ(りょくようるな)という少女だった。

お父さんが貴方は危険だから、と言いながらだが.....。

というか緑陽ってどっかで聞いた様な.....?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る