第15話 貴方を生涯愛します

病院に行った結果だが。

特に内臓破裂とかして無かった。

まあ痛みも治ってきたしそこそこだろう。

考えながら俺は塗り薬と湿布を受け取ってから。

そのまま真帆の元に戻る。


「.....ゴメンね。私のせいだよね」


「.....何がお前のせいなんだ?意味が分からない」


「私が有名な人物だから.....こんな目に」


「.....俺はそうは思わない。相手が全部悪いって思う」


真帆は涙を浮かべて泣いていた。

その頭を撫でながら、なあ。今から髪飾りを買いに行こう、と促す。

すると真帆は、有難う、と頷く。

そして俺は笑みを浮かべて真帆の手を握る。


「.....真帆。俺な。.....ようやっと気付いた」


「.....何に.....?」


「俺はお前が好きなんだって」


「.....え.....」


赤くなりながら真帆を見る俺。

そしてギュッとその手を握りしめる。

俺な。今まで実感無かったけど.....泉も好きだけど。お前も好きなんだ、とはっきりと断言する様に告げる。

真帆は赤くなりながら涙を浮かべた。


「.....有難う。そう言ってくれるんだね」


「ああ。だから2人でしっかり幸せを築いていこうな」


「私は.....何て幸せ者だろう。こんなに愛されるなんて」


「.....あの不良には感謝だな。その点については」


「そうだね。その点は良かったかも」


クスクスと笑う真帆。

俺はその笑顔すらも可愛いと思ってしまう。

それから俺は真帆の手をまた握った。

そして歩き出す。


「.....真帆。さっきのアクセサリーショップで良いか」


「そうだね。.....行きたい。そこに。でも大丈夫?本当に」


「死んで無いからな」


「.....そっか。.....じゃあ行こうか」


1時間も遅れた。

もう直ぐ夕暮れだ。

急がなければ、と思いながら俺達は病院を後にしてアクセサリーショップに向かう。

そうしていると、ね。翼くん、と言ってくる真帆。

後ろに手を回す様な感じで、だ。


「私ね。.....バレンタインチョコを贈りたいって思う。君に」


「もう6月だぞ。それでも?」


「うん。だってバレンタインは愛している人に贈るもの。月なんて関係ない」


「.....そうか」


「.....だから待っててね。たっぷりの愛情を込めるから」


「ああ。楽しみに待ってるよ」


そして俺達は笑みを浮かべながら歩き出す。

そうしていると.....商店街に来た。

それから、こっちだよ、と誘導してくれる。

そこは.....若い人向けのショップだった。


「あれ?真帆ちん」


「富永さん」


「.....?.....知り合いか?」


そこには長髪の少しだけ胸の大きいグラマナスな感じの女性が居た。

20代ぐらいの、だ。

お姉さんっぽい感じである。

俺は?を浮かべて見ていると。


「もしかして.....例の彼氏?」


「そうです。私の大切な大切な彼氏です」


「.....良い彼氏を捕まえたね」


「.....はい」


俺の全身を見て富永さんは全てを判断した。

この人やるな、と思えるが.....。

そして俺に笑みを浮かべる。

初めまして。私は店長の富永祐(とみながゆう)だよ、と言ってくる。

俺は、初めまして。山口翼です、と自己紹介する。


「君がもしかして痴漢を捕まえた人?有名人だよ」


「そ、そんなに有名っすか?」


「そうだね。.....かなりかなり有名かな」


「.....うーん。当たり前の事をしただけですが.....」


「当たり前の事って君は言うけど。.....そんな事は簡単には出来ないよ。誇って良いんだ。.....君は凄い」


「.....!」


そうだよ。翼くん。それだけ凄いんだから、と笑顔を浮かべて、えへへ、と言う真帆さん。

ああもう可愛いなコイツは!

富永さんは苦笑した。

彼氏の居ない私の前で見せつけてくれるねぇ、と。


「す、すいません。富永さん」


「良いよ。別に真帆ちん。.....で?今日は何をしに来たの?」


「髪留めを探しに来ました」


「.....髪留め?.....髪を留めるの?」


「はい。.....私、翼くんが選んだ髪留めを身に付けたいんです」


「.....そっか。.....じゃあ翼くん。選んじゃって」


富永さんに髪留めの場所に案内される。

そこには幾つも髪留めが置かれている感じだった。

女子専用コーナーの様な感じだ。

俺は顎に手を添える。

こんな俺が.....彼女の為に.....。


「可愛いのはやっぱり向日葵とかかもね。性格的に」


「.....成程.....」


「でも君が一番良いものを選んで。.....じゃないと話にならない」


「.....そうですね」


俺は必死に真帆を見る。

そして笑みを浮かべている真帆に、これだな、と差し出す。

それは.....薔薇の髪留め。

目をパチクリさせる真帆。

富永さんは、やるね、とニヤッとしていた。


「.....永遠に一緒に居て下さい」


「.....つば.....さ.....くん?」


「そういう花言葉を聞いた事がある。だから.....愛している」


「.....うん。.....愛してます」


そして俺から薔薇の髪留めを受け取ってから。

そのまま身に付けた。

その姿は.....とても可憐で独占欲が高まった。

何これめっちゃ可愛い.....この子。


全く彼氏が居ないのに、と言う富永さんは苦笑いながらも。

良い感じだね、と言ってくれた。

俺は頬を掻きながらその姿を見る。

すると、ねえ。翼くん。ちょっとしゃがんで、と言ってくる。


「.....なん.....」


そこまで言ってから。

俺の頬に顔が迫ってから。

そのままキスをされた。


俺はボッと火が点く様に赤くなる。

そして離れた少女は。

今は恥ずかしいからこれぐらいだけど、と言ってきた。


「.....お、お前さん.....」


「今度は唇でキスをね。.....とっても大好き」


「.....!」


ヤバい可愛い。

可愛いから.....可愛い。

どうしたものか、と思いながら俺は微笑みを浮かべる真帆を見る。

富永さんは、お似合いだね、と言ってくる。


「.....羨ましいもんだね。.....本当に。良い彼氏を捕まえたね。真帆ちん」


「私は世界一幸せです」


「はっはっは。で。翼くん。万が一真帆ちんを裏切って浮気したら穴に埋めるからね」


「怖いっす.....」


でもそういう事は無いですよ、と俺は断言する。

そして富永さんに向いた。

俺は.....真帆が好きですから。

そう強く言いながら。

生涯大切にします、とも。

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