第13話 アイナさん、やってしまう

「いやちょっと待て。それはマジなのか本当なのか」


「そうだな.....マジになってしまった」


俺と富義はヒソヒソとそんな会話をする。

丁度.....真帆が居ない時と。

教室の連中に知られない様に、だ。

それから富義は、全くお前はな、と苦笑する。


「.....でも良かったじゃないか。デートなんぞ。.....それも元有名アイドルだぞ。あり得ないな普通に考えて」


「そうだな.....まああり得ないよな」


「お前が羨ましい。.....でも.....お前は優しいからな。.....本当に信頼における」


「.....富義.....」


するとその時だった。

教室のドアが勢い良く開く。

それから、翼っち!!!!!、と声がした。

俺は!?と思いながら背後を見る。

そこに.....アイナが居た.....何で!!!!?


「転校して来たぞ!」


「.....転校って.....お前だけか!?」


「私だけに決まっているだろう!そんな美少女がホイホイ転校して来る訳ないでしょうが!」


「そ、そう.....な.....」


教室の連中がぬらりと立ち上がる。

それからバールを手に取った。

お前ら.....!!!!!


おのれが殺す、的な感じになっている。

この浮気者、的な感じで。

富義も、救いようがない、という感じになっていた。


「お前ら.....敢えて言うなら誤解だぞ」


「山口。説得力に欠ける」


「富義。お前味方じゃないのか」


「そうとも言える。だが今はそうとも言えないかもしれない」


「どっちだ!?」


そんな感じで会話をしていると?を浮かべていたアイナが、翼っち。デートするんだってな?真帆と、ときりだ.....あがぁ!!!!?

極秘の情報を漏らしやがった!?


エンハンスアーマメントかな?瞬く間に教室が凍った。

また.....物凄い感じで、だ。

そして、テメェ何様だぁ!!!!!、と解凍されたみんなが絶叫する。

涙目で、だ。


「え?内緒だったか?」


「それはそうだろ!?お前アホか!?」


「ありゃー。すまんね」


「馬鹿野郎!」


そんな感じでアイナと会話をしていると。

真帆が俺の腕にトイレから帰って来たのか絡んで来た。

それから、みんな落ち着いて、と頬を膨らませる。

そして、私は翼くん一途だし。そしてみんなの事も大切だから、と言う。

相変わらず聖母かな?


「真帆。ゴメン。内緒だったんだね」


「仕方が無いよ。知られちゃったなら。.....説明しよう」


そしてみんなに説明する。

俺達が付き合い始めた事とかを。

アイドルはマジに引退するとかを、だ。

そして教室は渋々納得した。

俺はホッとしながら胸に手を添える。


「.....サンキューな。真帆」


「うん。大丈夫だよ。こっちこそ有難う」


「すまない。真帆。翼っち」


「お前は気を付けろマジに」


まあでもまあ丸く収まったしね!、と笑顔になるアイナ。

俺は苦笑いを浮かべながらアイナを見る。

そして、おっと。そろそろ帰るねぇ、と言ってくる。

それからアイナは思いっきり手を振りながら去って行った。


「真帆。お前の仲間って良い奴ばっかだよな」


「.....そうだね。私って幸せ者だよね」


「.....握るなよ。手を」


「良いじゃん?アハハ」


こっそり手を握ってくる真帆。

それを富義は苦笑しながら見ていた。

そして俺たちは椅子に腰掛けてからホームルームを受ける。


この後に知ったのだが由奈って中学3年生なんだな。

初めて知ったのだが。

それで居ないのか、と思ってしまった。



「翼っち!!!!!!!!!!!」


「何だお前は!?煩い!?」


「飯を一緒に食べよう!!!!!」


元気過ぎてウルセェ!

俺は考えながら眉を顰めながらアイナを見る。

アイナはニコニコしながらコンビニ袋にぎっしりのパンを持って手を振っていた。

その姿を見ながら真帆を見る。

真帆も笑顔でアイナに手を振っていた。


「.....あ。翼くん」


「.....何だ?」


「お弁当作ったよ。.....はい。翼くんの分」


「は!?べ、弁当って!?」


「だって彼氏彼女だし。.....これぐらいは当然かなって」


教室がまた凍る。

そして、あのクソ馬鹿死ねよ、と言ってくる。

やっぱそうなるか。

だけどさっきよりかは落ち着いている。

猿度が減った気がする。


「.....富義。すまんが.....」


「そうだな。彼女を大切にしろ。.....行け」


「.....サンキューな」


「.....大丈夫だ」


そして俺達は屋上に行く。

それからドアを開け.....ると?

そこに小学生ぐらいの身長の女子が居た。

その少女をよく見ると.....これは見覚えがある。

靴的に3年生だが.....。


「カノン!」


「.....カノンちゃん」


「中島カノン(なかじまかのん)!?」


コイツはメンバーの1人だ。

つまり星の鏡のメンバーだったが。

この学校に居たのか?!

俺は考えながらも、ああ。見掛けなかったのは仕事で忙しいとかあるのかな、と考えてしまった。


「ふむ。初めましてかな。私は胸もまな板でちっこくてだがこれでも3年生だ。中島だ。宜しくな。翼」


「.....初めまして。この学校の生徒だったとは思いませんでした」


「私は特例で休みがちが多くてね。持病もあってね。.....だからなかなか挨拶が出来ず申し訳無い」


「いえいえ」


小学生の低学年みたいな身長だが.....、と思っていると。

時に君は.....真帆と付き合い始めたそうだな、と言ってくる。

俺は赤くなりながら、はい、と返事をする。

すると中島さんは、ふむ、と言ってくる。


「時に君達はもう、したのか?」


「.....した?」


「キスはしたのか?それともそれをすっ飛ばし初夜を.....」


「先輩!!!!?」


少しだけ興奮気味の先輩。

何言ってんだこの人は!?

考えていると、翼っち。中島っちはなかなかの変態だぞ、とアイナが言ってくる。


俺は、はい.....?、と思いながらアイナを見る。

流石の真帆も赤くなって反論していた。

これは.....また厄介なのが出たな.....。

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