第7話 2人だけの秘密

放課後になり。

俺は富義と帰ろうとした。

その時に真帆が、一緒に帰ろう、と言ってきたので俺は富義に断りを入れてそのまま


真帆と一緒に帰る事にする。

そんな真帆だが.....俺に笑顔を浮かべていた。

周りの男子達のとかの視線が気になったが.....まあ良かったんじゃ無いだろうか。


「私と一緒に帰ってくれて有難うね」


「.....ああ。まあ大丈夫だ」


「大好きな人と一緒に帰るってやっぱり幸せだよね」


「そうか?そうなのか」


「.....うん。とても幸せ」


そして俺の横に立って歩く。

そうしていると.....真帆が手をグーパーしているのに気が付いた。

俺は?を浮かべて真帆を見る。

真帆は赤くなりながら俺の手をチラチラ見ている。

その姿に、に、握るか?、と俺の手を差し出してみる。


「.....あ、有難う!」


「お前な.....少しだけでも配慮してくれ」


「配慮.....嫌。配慮なんてしないもん。私は私だから」


「.....ハァ.....」


俺の手を握ってくる真帆。

それから笑顔を浮かべてから見てくる。

無邪気過ぎるその顔に、全く。子供だな、と思う。

そうしていると真帆が俺に、大きいね。男の子の手って、と言う。

そして握ってきた。


「.....恥ずかしいぞ」


「恥ずかしいのは私もだよ?アハハ」


「いや。俺はその10倍は恥ずかしい」


「私は100倍だよ。それだったら」


「あれを言えばこれを言うなお前」


「だってそれは翼くんだから」


いやいや.....、と思いながら俺は赤くなる。

真帆はニコニコしてくる。

そして、ねえ。もし良かったら.....私のアパートに来ませんか、と誘いがあった。

俺は?を浮かべて真帆を見る。

真帆は、私のお家ね。一応この街にあるから.....ね?、と笑顔を浮かべる。


「.....分かった。じゃあ行ってみようか」


「本当に!!!!?じゃ、じゃあ.....来て?この前、私は君の部屋にお邪魔したし」


「.....ああ。そうだったな」


「嬉しい。とても」


「そ、そんなに喜ぶものかな?」


俺は赤くなりながら大喜びになる真帆を見る。

真帆は、だって好きな人が家に来るから、と笑顔になる。

その事にまた赤面する俺。

恥ずかしくなって後頭部を掻いた。


「.....何か作ってあげる.....」


「何を?」


「今日はお菓子ぐらいしか出来ないけど.....でも作らせて。私.....料理が上手なんだよ。これでもね」


「ああ。そうなのか?」


「うん。だから期待して。えへへ」


嬉しそうに、こっちだよ、と言いながら俺を道案内する真帆。

そして指差す方角。

俺の家から1キロぐらい離れた場所に家があった。

アパートだったが.....築40年はいってそうな古ぼけたアパートだ。

今もこういう家に住んでいるんだな、と思う。


「ゴメンね。びっくりした?」


「いや。.....何というか此処はもしかして第二の家とか?」


「そうだね。マネージャーと仲間達とコンサートの為にホテルに泊まったりする事もあるから。此処は3つある家の3番目の.....その。1番目の家。4つ目に実家もあるけど。一番お気に入りのお家に呼んだの。君を」


「お前の実家ってこの辺りなのか?」


「うん.....あ。違うよ。ちょっと離れた都会かな」


お母さんはこの場所から離れた都会に住んでる。

一応.....ストーカーとかにバレたらヤバいしね、と言う。

そうか、と思いながら考えて俺はハッとしてボッと赤面する。

ん?そういう事だと俺とコイツだけになっちまう事になるんだが。

良いのかこれ!?


「この場所に戻って来たのはたまたまだった。その時に痴漢に遭って.....怖かった。.....でも.....君が助けに来てくれた。それが心底嬉しかったの」


「.....そうか」


俺は、大変なんだな、と真剣な顔をする。

その言葉に、でも君が居るから。何もかもが幸せだよ、と笑顔を浮かべた真帆。

そんな言葉に赤くなってしまう俺。

そして頬を掻いた。


「この場所に戻って来たのは久々だから。.....部屋が荒れているけど.....ゴメンね」


「.....一緒に片付けようか?」


「.....恥ずかしいからダメだよ」


「お、おう」


口を膨らませて俺を見てから、でももし良かったらちょっと片付いたら今度.....片付けを手伝って下さい、と笑みを浮かべる。

俺は、そうだな、と笑みを浮かべてからアパートに入る。

そして見ると少しだけ確かにダンボールがあった。

ちょっと恥ずかしいね、と言う真帆。


「ダンボールを片付けようと思っても.....暇が無くて.....」


「そうなんだな。.....じゃあやっぱり手伝うよ。今度」


「うん。宜しく」


そして見ていると。

赤くなってから真帆が静かに寄って来る。

それから俺にそのまま手を添えて寄り添った。

おい!?何!?

俺はボッとまた真っ赤になる。


「.....暖かいね」


「.....な、何を!?」


「だって誰も居ないからね。.....アハハ」


俺は慌てながら真帆を見る。

真帆はニコッとしながらゆっくり俺から離れた。

そして話してくる。


これって2人だけの秘密だね、と言いながら。

この野郎.....恥ずかしい事ばっかり.....。

考えながら俺はムズムズを感じた。

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