第2話 マホたんの為なら!!!!!
この家の事を知るのに相当な時間が掛かったという。
落とした定期券からのヒントも得て、だ。
偶然ながら知ったという。
俺はその事に驚いたがもっと驚いたのは.....俺を好きだという事。
お前.....だって有名アイドルに好かれるってそんな馬鹿な事が!?
「私は優しい人が好きです。正義感を持った人が好きなんです」
「.....ま、まあ.....その。俺が優しいか正義感があるかどうかは別として。スキャンダルになるんじゃ無いか俺との関係の事」
「そうですね。別に構いません。.....好きな人が出来ましたしね」
「.....」
何か途轍も無い様な汗が噴き出てきた。
冷や汗とかじゃ無いけど。
でも.....何だか汗が止まらない。
困ったな、と思う。
そして赤くなって微笑んでいる真帆を見る。
いやこれ.....どうしたら良いのだ?
「私は.....7年近く実際の愛を知りません。丁度良い機会だったんです。こうして愛を知れたのが」
「もしやそれはモブの子役として活躍していた時からか?某ドラマで知っているが.....」
「そうですね。私は実は母子家庭なんです。.....その為にお金儲けをしたいと思って路上ライブし始めていたら.....拾われて今に至っています。だから恋なんてする暇は無かった。今.....貴方を好きになって良かったです」
「.....うーぬ。そうはっきり言われると恥ずかしい.....」
俺は赤面しながら頬を掻く。
そうしていると、お兄ちゃん。でもこれって凄い事じゃない?何万分の1の確率かもよ。それは悪い意味じゃなくてね、と笑顔で花梨が話してきた。
俺は、まあそうなんだけど.....、と苦笑い。
「.....翼君と付き合いたいと思います。心から」
「いや.....うん。そうだな。.....じゃあ付き合う.....という訳にもいかないんじゃないか。今の世間が大変な事になっているし」
「まあそうですね.....取り敢えずメンバーにもこの事での解散の意思を伝えています」
「.....えぇ!!!!?」
俺は愕然としながら花梨と共に驚く。
そして、私は普通の女の子になります、と唇を噛みながら上目遣いで見てくる。
良いのだろうか本当に俺なんかで、と思うが。
でも付き合いたいって言ってるしなぁ.....。
「.....分かった。取り敢えずは周りの様子を見てから判断だな。お前の身も心配なんだ俺は」
「うーん。そこまで言うなら仕方が無いですね。じゃあ先ずは世論の反応を見てからですね.....」
「何なの?マジに。最低。お兄ちゃんのヘタレー」
「喧しいわ!!!!!」
そんな感じで会話をしながら。
俺は真帆を見る。
こうして見ると本当に普通の女の子だな。
思いながら居ると凛花が立ち上がった。
それから、ご飯食べませんか?、と真帆に言う。
「あ。そうだな。12時だしな。.....真帆はどうだ?」
「有難いです。朝ごはん食べる暇が無くて.....」
「じゃあ作ります。.....マホマホの為なら!!!!!」
「あ.....もしかして私のファンなの?」
「そうです。ずっとマホマホを愛しています!」
有難う。じゃあこれからは沢山愛してね、と言う真帆。
その言葉に胸ドッキュンしたのかぐはっと言ってから鼻血を噴く妹。
俺は顔を引き攣らせながらその姿を見ていた。
そして、作るかどうするんだお前.....、と花梨に聞く。
花梨は、親子丼と某ホテル御用達のシャリアピンステーキを作る!!!!!、とめっちゃ張り切った。
「冗談だろお前!?めっちゃ手間が掛かるだろ!」
「マホマホの為なら!!!!!」
「いや待て待て!落ち着けテメェ!?」
「アハハ」
真帆はクスクスと笑いながら涙を浮かべていた。
俺はその姿に恥ずかしくなりながら、とにかく落ち着け、と花梨に言い聞かせる。
花梨の目は燃えている感じだった。
マジに目がファイヤーな感じで、だ。
「.....って言うかお前初耳だけどシャリアピンステーキ作れるの?」
「擬だけどね!!!!!作れるよ!マホたんの為ならねぇ」
「落ち着けって」
「やっ!!!!!」
コイツは.....。
思いながらシャリアピンステーキの為に肉を取り出してガガガと玉ねぎをめっちゃ切ってから調理し始める。
俺はその姿に、まあ.....もういっか、と思いながら苦笑いを浮かべてそのまま真帆の元に戻ってから真帆を見る。
真帆は出していたお茶を飲みながら笑みを浮かべる。
「実はこの辺りに引っ越すつもりです。アパートで一人暮らしって感じですが」
「.....え?それはまた何で?」
「それは貴方と一分一秒でも一緒に居たいので.....」
「おま.....」
「.....私は貴方が好きです。だから、です」
溺愛してんなコイツ.....マジに熱い。
体が燃え滾る様だ。
どうしたものかな、と思いながら俺は真帆を見る。
真帆は柔和な顔で俺を見ていた。
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