第205話 魔法の威力

杖を使わない時と同じぐらいの魔力を杖に注いで唱えた風魔法は、的に向かって飛んでいき予想した以上の威力で的に当たった。


「......えええ?」


私、ほんの少ししか魔力使ってないよ?それなのに杖を使うのと使わないのとではこんなにも威力に差が出るの?それなら魔法使いの人達が杖を使いたがるのも理解できる気がする。だって杖を使えば少しの魔力で沢山の魔法が使える事になるって事だもんね?


「.....お前、どんだけ魔力注いだんだ?」

「え!?杖なしでやった時と同じぐらいしかしてないですよ!?」


師匠から呆れた様子でそう言われ、慌てて訂正するが余計に溜め息をつかれてしまう。


「うーん、これは想像以上と言うか何と言うか」

「.....まぁ基本的にリンは規格外だからな」


しみじみとカノープスさんと師匠が私を見ながら頷いている。


「杖とリンの相性が良すぎてホンの少しの魔力でもそれなりな威力の魔法が打てるって事だな.....使い方を間違えればヤバイぐらいの魔法になるが.....まぁシリウスや俺が教えてる上に、リンにも人並みな常識はあるだろうから国を消滅させるなんて事はないだろうしな」

「いやいや.....なんでそんな規模の話になってるんですか?そもそも国を消滅させるなんて事するわけないですよね!?」


さすがの私でもそんな事はしないよ!?いや、確かに師匠やマリーさん達や私自身に害を成すなら考えなくもないけどね!?


「.....いや、リンなら有かと?」

「ないですから!!」

「.....そう言う事にしておくとして、これからのリンの課題は最小限の魔力で杖での魔法の行使のコントロールをつける事が最優先だな」


カノープスさんが態とらしく話をすり替えようとするのに取り敢えずスルーしておく。本当は聞き捨てならない言い方だったけどこれ以上話が脱線したら進まない事は理解してるから。


「杖に流す魔力のコントロールですか?」

「そうだ。リンの場合杖を使うと杖なしで魔法を使った場合と同じぐらいの魔力だったとしてもかなり威力の強い魔法になってしまうから、どれぐらいの魔力を使えば杖なしの場合と同じ威力の魔法になるからの検証をして、更にそこから威力を少しずつ上げていき、頭で覚えるんだ」

「ふむふむ」

「一度覚えてしまえば次からは無意識で同じ魔力量で魔法を発動出来るようになるから便利だぞ?魔法使い見習いが最初にする訓練のひとつだ」


へぇ.....宮廷魔導師や普通の魔法使いの人達ってそうやって訓練するんだ.....。


「.....でも体感で覚えるのって大変そう.....」

「まぁ、最初から出来る奴なんていないが、少しすれば何となくコツも掴めてくる筈だから大丈夫たろ?そんな訳でリンは今日はこのままここで訓練な」

「.....わかりました!」


確かに実際に魔法を使ってみない事には感覚的にもわからないし、普段魔法を使うタイミングもなかったしまぁ一目を気にせず使えるのはラッキーかもね!






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